2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659074
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
平野 雄 北九州市立大学, 大学院・国際環境工学研究科, 教授 (40258629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 民治 産業医科大学, 医学部, 講師 (80131928)
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Keywords | ES細胞 / 神経分化 / 消化管壁内神経 |
Research Abstract |
【目的】本年度はES細胞を神経細胞へ分化させる実験系を検討した。 【方法】誘導因子含有液としてマウスの脳抽出液、神経様細胞へ分化誘導後の神経芽細胞腫の抽出液、神経芽細胞腫培養液の3種類を用いた。まず、ES細胞を培養し細胞密度が70%になった時点でそれぞれの分化誘導因子含有液を添加し、72時間培養を行った。培養後の細胞を回収し、RT-PCR法による遺伝子発現の確認及び定量を行った。今回検討した遺伝子はAChE、TH2、synapsin、nestin、NOS1の5つである。 【結果と考察】今回NOS1,TH2に関しては発現が確認されなかった。マウスの脳抽出液処理グループが量も高くsynapsinを発現した。マウスの脳には神経細胞および神経関連物質が多く存在しているため、ES細胞が種々の神経細胞に分化したために高い値を示したと考えられる。神経芽細胞腫培養液処理グループではマウス脳抽出液処理グループより少ないものの、コリン作動性ニューロンへの分化を示すAChEの遺伝子発現量が多く見られた。このことからコリン作動性ニューロンに分化させるための誘導因子は神経芽細胞腫培養液に多く含まれていると考えられた。従って今後、神経芽細胞腫培養液に含まれる分化誘導因子の同定を行う必要がある。今回、nestinの発現量は各処理グループにおいて大きな差がみられなかった。この事より、どの処理グループも同程度の割合の細胞が分化していると考えられる。また、NOS1の遺伝子発現が見られなかったことからNOS1による分化誘導は起こっていないことがいえた。 【結論】以上の結果より神経細胞への分化に必要な分化誘導因子は神経芽細胞腫培養液に多く含まれており、この培養液を詳しく分析しすることでES細胞を神経細胞へ有効に分化させる手法を確立できると考えられた。今後、更に消化管壁内神経への選択的分化誘導を試みる。
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