2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659074
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
平野 雄 北九州市立大学, 大学院国際環境工学研究科, 教授 (40258629)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 民治 産業医科大学, 医学部, 講師 (80131928)
|
Keywords | マウスES細胞 / 分化誘導 / 胚様体 / 消化管壁内神経 / コリン作動性ニューロン / ハンギングドロップ / 神経芽細胞腫 / 馴化培地 |
Research Abstract |
マウスES細胞をLIFを含まないハンギングドロップ内で培養すると胚様体を形成し、蠕動様運動を開始するが、この構造は生理学的に消化管様構造であることが確認されている。しかしながら、蠕動様運動をするにもかかわらず、この構造には消化管の運動を司る消化管壁内神経が存在しない。そこで、我々はこの胚様体に消化管壁内神経を分化誘導することを最終目的とし、まずES細胞からコリン作動性ニューロンへの分化誘導を試みた。方法として、(1)マウス脳抽出液を培地に添加する、(2)マウス神経芽細胞踵(Neuro2a)の抽出液を培地に添加する、(3)マウス神経芽細胞踵の培養液から作製した馴化培地で培養する、(4)組換えマウスBDNF蛋白を作製し、培地に添加する、の4通りを試みた。また、神経分化の指標としてAChE、TH2、synapsin、nestin、NOS1の遺伝子発現をRT-PCR法により調べた。その結果、AChEの発現は脳抽出液、Neuro2a抽出液、馴化培地のいずれかの処理群もコントロールに比べ、有意に増強していたが、馴化培地処理群で最も強く発現していた。synapsinの発現も脳抽出液、Neuro2a抽出液、馴化培地のいずれの処理群もコントロールに比べ、有意に増強していたが、脳抽出液処理群で最も強く発現していた。Nestinの発現は各群において有意差は認められなかった。NOS1、TH2に関しては発現が認められなかった。以上より、コリン作動性ニューロン分化には馴化培地処理もしくは脳抽出液処理が有効であると考えられた。また、マウス組換えBDNF蛋白は現在作製中である。今後、これらの処理を行うことにより胚様体に消化管壁内神経の分化誘導を試みる予定である。
|