2005 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体関連分解の破綻によるタンパク質フォールディング異常病の解析
Project/Area Number |
16659076
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
緒方 繁憲 福岡大学, 医学部, 助手 (30131816)
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Keywords | 小胞体関連分解(ERAD) / プロテアソーム / ジペプチジルペプチダーゼIV / ユビキチン / アグリソーム / Cdc42-interacting protein-4(CIP4) / β-カテニン / α1-アンチトリプシン |
Research Abstract |
小胞体関連分解(ERAD)は、小胞体内のミスフォールドタンパク質を分子シャペロンが識別し、トランスロコンを介して細胞質に逆輸送され、ユビキチン化された後、プロテアソームによって認識され分解するという細胞機構である。小胞体は品質管理(quality control)機構を幾重にも備えており、異常(ミスフォールド)タンパク質は、小胞体膜および分泌経路から特異的に除外された後、細胞内で分解される。また近年、アルツハイマー病、プリオン病、ポリグルタミン病などタンパク質のフォールディング異常とクリアランス遅延によってタンパク凝集体が形成され、重篤な病態を示す例が数多く報告されている。小胞体関連分解システムの破綻として、さまざまなフォールディング異常病が明らかになりつつある。ここでは、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、α1アンチトリプシンのフォールディング異常およびCdc42-interacting protein(CIP4)の凝集体形成機構を解析した。 1 細胞表面膜に局在する膜蛋白質であるDPPIVの活性部位変異体は、プロテアソームで分解を受ける。DPPIV変異体の膜結合型と可溶化型(分泌型)を作製し、プロテアソームタンパク質分解系に至る過程の違いを調べた。さまざまな糖鎖合成およびトリミングの阻害剤存在下で細胞培養を行い、DPPIV変異体の分子種の変化ならびにプロテアソーム分解に対する影響をしらべた。その結果、特にER-マンノシダーゼの阻害剤存在下、顕著な違いが見られた。DPPIV変異体(可溶化型)はERマンノシダーゼの阻害剤によりその分解が抑制されるので、マンノースを認識するレクチン様蛋白質EDEMの関与が考えられる。しかしながら膜結合型DPPIVでは阻害剤の影響を受けないことから、EDEMを介さずに分解系に入る可能性が示唆された。 2 異常タンパク質の蓄積及び凝集体形成機構の違い:培養細胞をプロテアソーム阻害剤で処理すると、細胞内にアグリソームとよばれる変性タンパク質の塊が生じる場合ある。このアグレゾームの形成は異常タンパク質の種類により異なる凝集形態をとることが知られている。CIP4の選択的スプライシング変異体であるCIP4Vの過剰発現は、細胞接着の低下を引き起こすと同時に、β-カテニンを含んだアグリソームを形成した。これらはPerkinなどで見られる典型的なアグリソームの形態をしめした。しかしDPPIV変異体の場合、COS-1細胞に発現させた後、プロテアソーム阻害剤(エポキシミシン)で処理すると、アグリソームの形態は見られず、核の周囲に小胞体の網目構造が凝集された。さらに時間の経過とともに、非常に大きい空胞が核の周囲から細胞質全体にわたって形成された。さらに膜画分にユビキチン化されたタンパク質が蓄積されることから、膨らんでいる空胞は、小胞体であると考えられる。これら小胞体の異常蛋白質の凝集は、細胞内移行の差によって、異なる部位で形成されるのではないかと考えている。
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Research Products
(2 results)