2004 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役受容体のオリゴマー形成による機能調節機構
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16659078
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
中田 裕康 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00041830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津賀 浩史 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00374158)
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Keywords | オリゴマー / Gタンパク質 / 受容体 / ダイマー形成 / プリン受容体 / アデノシン / ATP / 免疫染色 |
Research Abstract |
90年代の終りから、Gタンパク質共役受容体(GPCR)が細胞膜上でダイマー(もしくはオリゴマー)としても存在し、かつ生理的な機能を示すことが明らかになっている。このようなGPCRのオリゴマー形成は同じGPCRや類縁ファミリーGPCR間のみならず、構造的にまったく異なるGPCR間でも生じて、受容体のリガンド結合、脱感作、細胞内移動、シグナル伝達などに様々な変化を与える。したがってオリゴマー形成はGPCRの多様性を促進する新しい機構であり、タンパク-タンパク相互作用が生理学的、薬理学的に重要な役割を果たす重要な例と考えられる。我々はすでに、神経伝達を抑制的に調節に関与するGPCR型プリン受容体において、A_1型アデノシン受容体とP2Y_1受容体間のヘテロダイマー形成とその生理的機能を明らかにしている。 本研究においては、GPCRヘテロダイマーの病理的役割をさぐる目的で、パーキンソン病との関連が注目されているA_<2A>アデノシン受容体とD_2ドーパミン受容体のヘテロダイマー形成を検討した。まず、培養生細胞中でA_<2A>受容体とD_2受容体とがヘテロ複合体やA_<2A>ホモ複合体を形成することを証明した。より安定なダイマー受容体の発現のために、A_<2A>とD_2受容体分子を融合させたGPCRのcDNAを構築して、両受容体の融合タンパク質の作製を試みたところ、両受容体の間にTMタンパクを介在させた形での発現により、受容体活性を保持するA_<2A>-D_2融合GPCRを世界で初めて発現させることに成功した。 これらの結果から、神経伝達調節を司るプリン受容体は、種々のGPCR間との直接的な相互作用により、機能を調節することが示唆された。今後は、受容体相互作用の特異性や機構の詳細な検討をさらに推し進める必要がある。
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