2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホルマリン固定材料中の高分子核酸の分取と不死化法の確立
Project/Area Number |
16659092
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野口 雅之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00198582)
|
Keywords | DNA不死化 / PRSG法 / 高分子DNA / ホルマリン固定 / パラフィン包埋 |
Research Abstract |
本課題における研究計画を下記の如く段階的に設定した。1.ホルマリン固定材料より採取したゲノムDNAからの高分子DNAの分離および不死化法の確立。2.点突然変異やLOHの解析を通して不死化DNAの品質の検証。3.分取されたDNAに存在するであろうニック、ギャップの修復についての検討。4.高分子DNAの抽出、不死化についての簡易キットの作製。平成16年度では上記の1.についての検討を行った。ホルマリン固定、パラフィン包埋材料からDNAを抽出し、佐々木らによるPRSG(PCR of randomly sheared genome DNA)法に準拠してDNAの不死化を試みた。同手技の概要を簡単に説明すると(1)DNAの物理的切断(2)BAL31 nucleaseとT4 DNA polymeraseによる平滑末端化(3)ENB adaptorの付加(4)シャトルPCRによるDNAの不死化である。ホルマリン固定材料中のDNAはすでに断片化しているものと考えられたため(1)の過程は行わず抽出したDNAを直接(2)以降の過程に用いた。具体的にはA.ホルマリン固定、パラフィン包埋材料(手術材料)B.ホルマリン固定、パラフィン包埋材料(剖検材料)C.メタノール固定、パラフィン包埋材料(手術材料)の3種類の固定条件、保存条件の異なる材料に対してPRSG法に準拠したDNAの不死化を試みた。シャトルPCR後のPCR産物について電気泳動を行った結果、いずれの材料でも電気泳動上100-1000bpの産物を得ることができ、不死化が技術的に可能であることが確認できた。しかし、不死化できない(電気泳動上PCR産物が確認できない)検体も多く、手技的問題や元来DNAの保存状態の劣悪さが原因である可能性が考えられた。今後、不死化DNAの品質についての検討を行いたい。手術材料、剖検材料で比較的多数の症例数を確保できる悪性リンパ腫(B細胞性)の症例より抽出したDNAについて、PCR法を用いたIgH遺伝子再構成の検索が行えるか否かを品質検証の一手段として検討を進めたい。
|
Research Products
(10 results)