2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホルマリン固定材料中の高分子核酸の分取と不死化法の確立
Project/Area Number |
16659092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野口 雅之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00198582)
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Keywords | 核酸 / 癌 / 病理学 / ホルマリン / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
本研究の目的はホルマリン固定材料である病理組織標本を用いて遺伝子診断を行う効率を可能なかぎり向上することにある。そのために我々は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いると従来の方法より、より高品質なDNAを抽出できることを証明した(Inadome Y and Noguchi M. Diagn Mol Pathol,2003;12:231-236)。この方法論に則ってホルマリン固定材料からDNAを抽出した場合、従来の抽出法で得られるDNAを用いたB細胞リンパ腫の遺伝子再構成解析などの遺伝子診断の効率が良くなる事を証明出来たが、手術材料等の多量の試料が得られる場合と違って生検材料等試料の量が制限される場合、HPLCを通すと最終的に採取出来るサンプル量が極めて少なく、その後の検索に用いる事ができなかった。そこで生検材料からのDNA抽出法を改良してPK処理後の抽出をより単純化し、より多量のDNAが得られるようにした。このような方法論を用いて1999年から2005年までのリンパ節、あるいはその他の組織から生検された標本97例のイムノグロブリン再構成についてPCR法を用いて検索した。ちなみに増幅する塩基数は250塩基対程度である。その結果、すべての標本でPCRが可能であり、病理組織診断と一致して遺伝子再構成が証明された例は82.5%と高率であった。以上の結果はホルマリン固定材料を用いても至適な方法論でDNAを抽出すればイムノグロブリンの再構成などの遺伝子診断は十分可能であることを示している。 今回の研究では残念ながらすべての材料についてHPLCを用いて高品質DNAを抽出することはできなかったが核酸抽出の条件を至適にすれば十分PCRを基本とした遺伝子診断は可能であることが分かった。
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Research Products
(13 results)