2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質転写型新規国産ベクターを用いた染色体非傷害型免疫再構築遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
16659094
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米満 吉和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40315065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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Keywords | センダイウイルスベクター / 複合重症免疫不全症 / 骨髄移植 / 造血幹細胞 / 細胞質転写 |
Research Abstract |
レトロウイルスベクターによるSCID遺伝子治療の有効性が報告されていたが最近11例中3例で造血系悪性腫瘍の発症を認め、大きな問題となっている。これは宿主ゲノムにランダムに挿入されるレトロウイルスベクターの特性の問題である。従って宿主ゲノムに相互作用をしない、安全性を重視した新しいベクターの開発が急務となっている。 我々が開発した独自の国産ベクターであるセンダイウイルスベクター(SeV)は広範囲な細胞/臓器に簡便に遺伝子導入でき、遺伝子発現に核内移行やゲノム挿入を必要とせず、細胞質中で高効率な治療遺伝子発現を実現できる全く新しいタイプの高性能ベクターである。 我々は本ベクターがヒト臍帯血CD34陽性細胞に簡便かつ高効率に遺伝子導入可能なことを明らかにし、さらに本ベクターは各種造血系への分化に全く影響を与えないことを証明した(Gene Ther 2003)。本年度の研究ではマウス同種骨髄移植モデルを用いて、本ベクターの改変ベクターである温度感受性SeV(tsSeV)の生体内血球系再構築の可能性について検討した。その結果、 (1)従来のSeVベクターでは不可能であった生体内血球再構築が、tsSeVの使用により可能になった(末梢血85%以上)。 (2)tsSeVによる血球再構築を受けた個体では、約半数が5週以上高い陽性率を維持したが、残り半数では5週目以降に陽性細胞数が低下した。後者は長期生存したが、前者は汎血球減少により全て死亡した。 (3)発現が低下した個体では抗SeV抗体が強く産生されたが、死亡した個体での抗体産生能は低かった。 以上から、現行のSeVを臨床に用いるにはまだ問題があると考えられたが、細胞質型ベクターによる血球系再構築に関する、世界初の成功である(投稿準備中)。 今後、特に膜蛋白遺伝子を全て欠損したベクターによるさらなる解析を進める予定である。
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Research Products
(21 results)