2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質転写型新規国産ベクターを用いた染色体非傷害型免疫再構築遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
16659094
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米満 吉和 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (40315065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
中川 和憲 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (50217668)
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Keywords | 先天性免疫不全症 / 組換えセンダイウイルス / 遺伝子治療 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
先天性免疫不全に対する新たな治療法として遺伝子治療が期待され、一部の症例では有効性が報告されている。しかしレトロウイルスベクターによる宿主細胞染色体へのプロウイルスゲノム取り込みに起因すると考えられる副作用が明らかとなり、より安全性の高いベクターの開発が求められている。 我々はこれまで全く新しい細胞質転写・複製型ベクター(組換えセンダイウイルスベクター:SeV)を開発し、ヒト造血幹細胞において3系統への分化能を維持したまま高効率遺伝子導入が可能であることを報告した。今回、新たに体温にて全膜タンパク発現を消失する温度感受性変異型SeV(Sev^<18+>/dFM^<ts>HN^<ts>)を開発したため、オワンクラゲ発光蛋白(GFP)を発現する本ベクターで処理したT細胞除去同種骨髄移植(mBMT)による血球系再構築動態について検討した。 F遺伝子欠損SeV(ScV^<18+>/dF)、SeV^<18+>/dFM^<ts>HN^<ts>共にin vitroにおいて赤血球・T細胞除去骨髄細胞への80%以上の高い遺伝子導入効率を示したが、放射線処理した同種マウスへ移植した場合、T細胞を含む全血球系へのrepopulationはSeV^<18+>/dFM^<ts>HN^<ts>でのみ観察された。mBMT後、repopulation効率の高い個体は抗SeV抗体価の上昇が見られず5週頃より汎血球減少により死亡、効率の低い個体では高い抗SeV抗体価を示し長期生存した。SeV特典的細胞障害活性(CTL活性)は全ての個体で全体的に低い傾向であった。 本研究は、染色体非傷害型細胞質型ベクター遺伝子導入骨髄による血球系再構築の初めての報告であり、SeV_<18+>/dFM^<ts>HN^<ts>による移植骨髄細胞の全血球系統に対するrepopolationが可能であることが明らかとなった。一方同骨髄細胞の排除機構など、臨床応用にはベクターの改良が必要であると考えられた。(796字)
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Research Products
(20 results)