2004 Fiscal Year Annual Research Report
病原性細菌のヘムシャペロンと「トロイの木馬」型化合物
Project/Area Number |
16659114
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 敏高 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90323120)
海野 昌喜 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10359549)
|
Keywords | ヘムシャペロン / X線結晶構造解析 / 病原性細菌 |
Research Abstract |
病原性細菌の繁殖には鉄が不可欠である。従来の常識では、これらの細菌は他の一般的な細菌と同様に低分子キレートであるシデロフォアを利用する方法かまたは鉄タンパク質あるトランスフェリン・ラクトフェリンを菌体内に取り込む方法によって鉄を獲得していると考えられてきた。しかし、近年、これらの細菌は感染時において宿主の持っている赤血球を溶血させ、そこから放出されるヘモグロビンのヘムを鉄源としていることが明らかになった。 本研究は、病原性細菌のヘムの取り込みに関与する一連のタンパク質群について、キャラクタリゼーションと構造解析を行い、病原性細菌のヘム取り込み、鉄獲得機構を明らかにすることが目的である。 本年度はその中で脳膜髄炎菌のヘム輸送対であるHemTについて発現系を構築することに成功した。また、ヘム分解酵素のHemOについては、そのヘム分解における位置選択性を変換させるような変異の導入を行い、その結晶構造解析に成功した。その結果、位置選択性を生み出す構造的要因に迫ることができた。 ジフテリア菌由来のヘム分解酵素HmuOについては着々と研究が進んでいる。今年度の主な成果は、反応中間体の一つであるビリベルジン結合型、ヘムが結合していないアポ型の高分解能X線結晶構造解析に成功し、哺乳類のヘム分解酵素とは異なる中間体構造をしていることが明らかになった。アポ型の構造で驚くべきは、ヘム(誘導体)結合型に見られていた近位側のヘリックスがほどけて、ループ状に構造変化をしていた。
|
Research Products
(6 results)