2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659117
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 容正 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20010100)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 文恵 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50283776)
|
Keywords | Chlamydia pneumoniae / 持続感染 / リンパ球 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化症発症進展における肺炎クラミジア感染リンパ球の役割を解明することである。その一環として平成16年度は、肺炎クラミジアのリンパ球内での増殖抑制機構の解明を計画した。どのような状態がリンパ球に感染保持されている肺炎クラミジアの活性増殖を引き起こすのか、即ち、どのようなリンパ球に対する刺激ならびに機能修飾が抑制されている菌の活性増殖化につながるかを検討した。具体的には、試験管内におけるリンパ球内肺炎クラミジアの増殖制御に関わる可能性のある各種免疫修飾剤について検討した。さらには、肺炎クラミジアがリンパ球に持続感染することによる宿主リンパ球細胞の機能修飾についても検討を試みた。その結果、宿主タンパク合成阻害作用を有するcycloheximideに強い菌の活性増殖化作用が認められたが、予想されたFK506などのリンパ球に対する免疫抑制剤には菌の活性増殖化作用は認められなかった。ただ、検討した免疫抑制剤が限定されているため、現時点での結論は尚早と思われる。一方、肺炎クラミジアのリンパ球への持続感染モデルを用いた解析では、各種サイトカインの感染による誘導が認められず、クラミジアの持続感染そのものは宿主防御機構に認知され難い感染様式であることが示唆された。さらには、本菌の持続感染は、感染防御に強く働くサイトカインとして知られているIL-8の産生をむしろ抑制することが明らかとなり、この抑制作用が本菌の持続感染に何らかの形で寄与しているのではないかと推測された。これら一連の結果は、日本細菌学会総会ならびにアメリカ微生物学会総会(ASM)において発表した。また、リンパ球への肺炎クラミジア持続感染における免疫応答の解析結果は論文としてCurrent Microbiologyに発表した(in press)。
|