2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659125
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90263160)
|
Keywords | IRF-3 / A20 / ds RNA / Toll-like receptor / virus infection |
Research Abstract |
本研究に着手したきっかけは、HIVのNefと結合する因子Nef associated factor 1 (Naf1)が、polyI:C刺激によるIRF-3依存的な転写活性化を抑制し、siRNAにより内因性Naf1の発現を抑制するとpolyI:CによるIRF-3依存的な転写活性化が促進されることを発見したことであった。その後、NefとIRF-3の関係を詳細に調べていくうちに、IRF-3をより強力に抑制するのはNaf1に結合するA20という分子であることが判明した。A20はごく最近の報告で、deubiquitinase、ubiquitin ligase両方の活性を通じNF-kappaB活性化経路の中で負の制御因子として働いていることがわかっている。本研究により明らかになったことは、IRF-3活性化経路の中でIRF-3リン酸化酵素と考えられているTBK1/NAKとIKKi/IKKeにA20が結合すること、IRF-3のリン酸化および2量体化を抑制すること、それによりIRF-3依存的転写活性化を強力に抑制すること、内因性A20をsiRNAにより減少させるとウイルス感染や2重鎖RNA刺激反応性インターフェロン産生が増強されることであり、論文として本年2月に出版されたJournal of Immunology誌に発表した。一般に生体(細胞)内の制御システムは、活性化(正)と不活性化(負)の制御バランスの上に成り立っている。ウイルス感染への反応の場合も同様であって、1型インターフェロンが産生されることは生体防御の第一段階である自然免疫反応としてきわめて重要であるが、過度の免疫反応を起こさないためには負の制御機構が必要である。その意味で、ウイルスに対する自然免疫反応における負の制御因子を同定した本研究の意義はたいへん大きい。
|