2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿路系腫瘍におけるメチル化DNAの腫瘍マーカーとしての意義
Project/Area Number |
16659139
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
登 勉 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60106995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80237304)
有馬 公伸 三重大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10175995)
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Keywords | 腎尿路系腫瘍 / survivin発現定量 / 尿中細胞 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
癌細胞に起こった変化を検出することにより、精度の高い診断マーカーの発見が可能であると考え、癌抑制遺伝子p16、レチノイン酸受容体RARβ、E-cadherin、グルタチオンS-トランスフェラーゼGSTP1のプロモーターメチル化を検討したところ、p16やRARβは腫瘍疑い例や診断不明例でもはぼ全例でメチル化を認めた。 最終年度には、癌細胞で特異的に過剰発現するアポトーシス阻害因子survivinを定量し、腎尿路系腫瘍の診断マーカーに成りうるかを検討した。対象は、膀胱癌50例、前立腺癌9例、および尿路系感染症30例で、自然排泄尿15mlから遠心操作により回収した細胞からtotal RNAを抽出し、real-time PCR法によりsurvivin mRNAを定量した。GAPDH mRNA発現量を内部コントロールとし、survivin/GAPDH比を求めた。膀胱癌細胞株を用いた検討では、survivin発現量は29〜80(survivin copies x10^5/GAPDH copies)であった。 膀胱癌でのsurvivin発現量は148.8±185.6(mean±SD)であり、前立腺癌(10.5±8.5)や感染症(6.7±11.8)に比べて有意に高値(p<0.001)であった。また、膀胱癌におけるsurvivin発現量は、組織悪性度の相関する傾向が認められた。 ROC解析により求めたカットオフ値は10.5であり、診断感度および特異度は、それぞれ92%と83%であった。 尿中細胞由来survivin mRNA発現量定量は、非侵襲的に採取できる尿が検体であり、感度と特異度も良好であるので、膀胱癌のスクリーニングや治療経過のモニタリングに有用な腫瘍マーカーの候補である。
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