2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞周期プロファイリング装置を用いた胃前癌病変のリスク診断と癌予防への応用
Project/Area Number |
16659152
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
神山 順 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (20257538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20186993)
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70315935)
石原 英幹 シスメックス株式会社, 中央研究所, 主任研究員
糸井 啓純 明治鍼灸大学, 教授 (80203123)
窪田 健 明治鍼灸大学, 助手 (70388180)
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Keywords | 細胞周期プロファイリング / CDK2活性 / ヘリコバクター・ピロリ |
Research Abstract |
近年分子生物学的研究の発展により発癌機構が明らかになってきており、それに伴って、原因分子を標的とした治療薬の開発が行われている。特に癌抑制遺伝子RBに至る種々の細胞周期関連分子の量的変化によるサイクリン依存性リン酸化酵素(CDK)活性の亢進は、ほとんどの臓器において発癌に大きく関与する。更にそれら分子の発現量は、予後や、薬剤感受性に影響を及ぼすと報告されている。そこで我々はこれら分子の発現量と、CDK活性を、微量の生検材料を用いて多項目同時測定しプロファイリングする装置のプロトタイプを開発した。 この装置を用いて、我々はすでに37例の進行消化器癌において正常粘膜と病変部粘膜で20項目の細胞周期関連分子についてプロファイリングを行った。その結果、CDK2活性が、胃・食道・大腸癌の全てにおいて癌部と非癌部の鑑別に有用であることが判明したが、胃粘膜については大腸や食道と違い、非癌部での活性値にばらつきが大きく癌部よりは低いが、高値を示した。これは正常部の病理組織学所見が、全く正常から、前癌病変である腸上皮化生に至るまで様々あることを反映しているのではないかと考えられた。また、この段階では胃の癌化の引き金とも考えられているH.ピロリの感染の有無についてデータが無かったが、非癌部粘膜でのCDK2活性のばらつきが、様々な胃炎の状態によることや、H.ピロリの感染で、様々な胃炎が惹起されることから、H.ピロリ感染の有無と、CDK2活性には何らかの相関が見られる可能性が高いと考え、本年度は、胃癌などで手術的に切除された胃粘膜や、通常の胃内視鏡検査で行われる生検標本を集めて、プロファイリング装置を用いてCDK2活性などのデータを蓄積した。今後更にデータを蓄積すると共に、これらの数値と、胃粘膜の状態との相関について検討する。
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