2004 Fiscal Year Annual Research Report
経年的追跡データを用いたベースライン時健康指標からの予後の予測モデルの開発
Project/Area Number |
16659158
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (00195900)
|
Keywords | 追跡調査 / 収縮期血圧 / 拡張期血圧 / 線型混合モデル / 階層モデル / 成長モデル / 母数効果 / 変量効果 |
Research Abstract |
解析資料として1997年に健診を受けたA県自治体職員とG社職員から4年間の健診結果が入手された。統計学的方法としては、4回の職場の健診で測定した血圧(拡張期血圧、収縮期血圧)の値を目的変数、調査開始からの経過年数を説明変数、調査開始時点での個人の職域、BMI、年齢、味付けの嗜好、飲酒習慣、喫煙習慣、運動習慣を共変量とした。それらの値を用いて、初年度の血圧と共変量との関連を見るための一般線型回帰モデルを用いた分析を行った。一般線型混合モデルとしては、個人を変量効果とみた階層モデルと、同一個人のくり返し測定とみなした成長モデルを当てはめた。 初年度の血圧と共変量との関連をみるための一般線型回帰モデルでの分析では収縮期血圧、拡張期血圧共に全ての共変量と有意な関連があった。個人を変量効果とみた階層モデルでは収縮期血圧、拡張期血圧ともに経過年数と全ての共変量と有意な関連があった。収縮期血圧、拡張期血圧両者について、調査開始時点での血圧は、有意な個人間変動があった。血圧の経年的な上昇スロープにも個人間で有意な変動があった。また、これらの両者の間には有意な負の関連がみられたことから、調査開始時に既に血圧が高値であった場合はその後の上昇は緩やか、もしくは低下するということが考えられる。すなわち、加齢に伴う生理的血圧上昇は観察開始時血圧が正常値にあれば強く表われるが、既に高値にある者では、加齢以外の要因による影響が相対的に強くなっていると推察される。同一個人のくり返し測定とみなした成長モデルでも収縮期血圧、拡張期血圧ともに経過年数とすべての共変量と有意な関連があった。また4時点の血圧の測定値間にも、有意な正の関連があった。その相関は、時間的に間隔があるほど関連が小さくなる傾向があった。換言すれば、ある年の血圧には前年の値が強く影響し、経年的に上昇傾向が続くことが示された。
|