2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659167
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大澤 資樹 山形大学, 医学部, 教授 (90213686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 美華 山形大学, 医学部, 助手 (00323163)
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Keywords | 乳幼児 / 突然死 / 遺伝的解析 / PHOX2B |
Research Abstract |
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、剖検と諸検査において死因が不明のものとして除外診断されている。国内では1歳以下の死因の第三位を占め、病態の解明が重要な課題となっている。背景として推定されることは、うつ伏せ寝に伴う神経系の機能異常があげられるが、一部の症例では呼吸器系・循環系・脳神経系の先天性異常との関連も考えられる。先天性異常としては、無呼吸発作を主症状とする先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS、Ondineの呪い)や不整脈を伴うQT延長症などが候補となるが、これらを解剖検査から診断することは難しい。しかし、原因となる遺伝子はかなり同定されているので、DNAを解析することにより遺伝性疾患を判断できる可能性がある。遺族から実験目的での使用について承諾を得た45例につき、血液よりDNAを抽出し遺伝子解析を行った。現在までに、CCHSの原因遺伝子とされているRET proto-oncogene、Phox2b (paired mesoderm homeobox 2b)、Phox2a、EDNRB (endothelin receptor type B)の解析を終了している。その結果、非同義置換をいくつか検出したが、それが直接的に発現や機能の異常に結びついているとは考えにくかった。特に、Phox2b遺伝子内のポリアラニン異常伸長はCCHSの10例中9例に検出されたのに対し、SIDS例では全く検出できなかった。睡眠中の無呼吸発作を主症状とするCCHSがSIDS症例に含まれていると以前から推定されていたが、意外なことにSIDSにこのCCHSが遺伝的背景として関与している可能性は低いと推定された。今後は、他の遺伝子異常の検討も重ねてゆく予定である。
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