2004 Fiscal Year Annual Research Report
アリル進化の痕跡から個人特異性と集団近縁性を同時解析するDNA検査法の開発
Project/Area Number |
16659169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉木 敬二 京都大学, 医学研究科, 教授 (90217175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏充 名古屋大学, 医学研究科, 助教授 (50260592)
飯野 守男 京都大学, 医学研究科, 助手 (80362466)
後藤 宙人 京都大学, 医学研究科, 助手 (40378625)
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Keywords | ミニサテライト / DNA多型 / B6.7 |
Research Abstract |
最近のDNA検査をはじめとする物体検査から要求される情報は個人識別にとどまらない。例えば血痕などから個人識別情報だけでなく、その個人の属する集団がある程度判明すれば法医鑑識上、大変有用な情報となる。このため、今年度はこのような高変異ミニサテライトのひとつであるB6.7について、その高変異性のルーツをたどるべく、類人猿、旧世界ザル、新世界ザルなどの霊長類のDNAを用いて、B6.7相当領域の増幅とアリルの塩基配列決定を試みた。その結果、シロテテナガザルを除く類人猿、および全ての旧世界ザルで増幅バンドを確認できた。一方、新世界ザルおよび原猿類ではアリルの増幅を確認できなかった。ほとんどの霊長類で1本であり、同種類の霊長類においては一致していた.しかしながら、アカゲザル、マントヒヒにおいては、2本のバンドを有する個体があり多型性を示した。また、増幅バンドの塩基配列を決定したところ、認められたバンドは全てヒトのB6.7リピート又はその類似リピートであり、フランキング領域の配列から霊長類におけるB6.7相当ローカスであることが確認できた。複数のチンパンジーにおいて同一アリルを有するホモ接合体であった。ゴリラにおいても3個体いずれも長さの等しいホモ接合体と思われたが、アリルのリピート内にわずかな変異を認めた。ニホンザル、カニクザル、アカゲザルの3種のマカクではアリルの長さは異なっていてもアリル内の各リピート配置は非常に類似しており、近縁性を特徴づけた。今後、他のローカスや、アジア人のDNAを利用して日本人アリルとの比較により、アリルの近縁性と進化についてさらに考察を深めたいと考えている。この研究によって考案されるアリル解析法は、従来の種族検査にはないDNA検査法の新しい分野を開拓するものと期待している。
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