2004 Fiscal Year Annual Research Report
超微小ビーズ担体を用いた食物アレルゲンに対する生体側受容体の単離
Project/Area Number |
16659183
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80107432)
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Keywords | 食餌アレルギー / 粘膜免疫 / ナノテクノロジー / SGビーズ「ミラクルビーズ」 / 生体受容体単離技術 / 消化管上皮細胞 / 病原性大腸菌 / EspB |
Research Abstract |
本研究は代表者・渡辺が独自に展開する消化管粘膜免疫研究を基礎とし、分担研究者の半田が開発した「ミラクルビーズ」を応用することで、食餌性物質や腸内細菌に対する受容体単離をおこない、新しいアレルギー抑制戦略の基盤を目指すものであった。実際には、スチレンを芯に持ち表面をグリシジルメタクリレートで覆われたSGビーズ「ミラクルビーズ」よる生体受容体単離が微量蛋白の検出・同定に有効であることを利用し、腸管病原大腸菌(EPEC)の病原因子の一つである分泌蛋白EspBの標的生体分子をアフィニティ精製することを試み、下記のごとく一定の成果を得た。当初、アフィニティ精製画分には多くの夾雑物が含まれ、EspBと選択的に結合する生体分子の検出には困難が伴った。しかしながら、EspBの蛋白のSGビーズへの固定化方法すなわちリンカー分子の連結によるビーズ固定の導入や、EspB蛋白固定化量の最適化など詳細な条件検討を重ねることにより、His-EphB固定化ビーズの作成が可能となった。大腸上皮細胞株HT29細胞の細胞抽出液とHis-EphB固定化ビーズの結合反応により、EspB結合蛋白を単離・同定した。EspB結合蛋白の蛋白発現系およびrecombinant EspB蛋白の精製をおこなった。また、これを用いたGST pull down解析の結果、EspBとEspB結合蛋白が特異的に結合することが明確になった。以上の成果より、アレルギー抗原となりうる腸内細菌由来蛋白あるいは食餌性蛋白抗原に対する生体受容体単離の網羅的解析にむけた技術基盤がほぼ確立されたものと考えた。これらの成果は、感染疾患や食物アレルギー疾患などの発症機構に関わるこれら生体受容体の同定、およびその機能解明を通じて、治療に直結する新規知見の探索に有力な技術基盤を提供するものと期待される。
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