2004 Fiscal Year Annual Research Report
バレット上皮形成促進因子のクローニングとこれを標的としたバレット癌の遺伝子治療
Project/Area Number |
16659186
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木下 芳一 島根大学, 医学部, 教授 (30243306)
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Keywords | バレット上皮 / 線維芽細胞 / クローニング / 胃酸 |
Research Abstract |
平成16年度はバレット上皮形成促進因子をクローニングすることを目的に研究を行っている。まず、ラットの食道の線維芽細胞と扁平上皮細胞を安定して培養する方法を確立した。食道を摘出し、酵素溶液を用いて内腔を灌流することによって最初に扁平上皮分画を、それに続いて線維芽細胞分画を得た。この後、遊離細胞をそれぞれの細胞分画に特異的な増殖因子を含む無血清培地で培養することによって安定して増殖する食道扁平上皮培養細胞と食道線維芽培養細胞を得た。この培養線維芽細胞の培養液をpH3.0とし30分間にわたって維持し、その後細胞の生存率を検討すると、大部分の線維芽細胞は代謝活動を止めており、またこの細胞集団よりmRNAを抽出したところ、mRNAがdegradeされており、この条件では生存し得ないことが明らかとなった。そこでpHを4.0とし5分間の酸刺激を30分おきに3回繰り返す条件とすると、線維芽細胞は生存し、かつ十分なdegradeしていないmRNAが得られることが明らかとなった。このmRNAをもとにcDNAを合成し、このcDNAと酸刺激をしていない線維芽細胞のmRNAを用い、subtraction cloning kitを用いてsabtraction cDNAライブラリーを作製した。今回作製したsabtraction cDNAライブラリーは十分な長さのcDNAを含んでおり、mRNAの全長を含むライブラリーが形成されていることが期待されている。現在は、このcDNAライブラリーを発現ベクターに組み込み、cos細胞にトランスフェクトし、このcos細胞を培養してその上清を得るための検討を行いつつある。この上清をもとにラット培養扁平上皮細胞の円柱上皮性質の獲得をマーカーとして、バレット上皮形成促進因子のクローニングを進める予定である。
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