2004 Fiscal Year Annual Research Report
誘導型心不全モデルマウスを用いた、心不全の病態解明と新たな心不全治療法の開発
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16659193
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60334190)
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Keywords | 心不全 / 拡張型心筋症 / 細胞死 / オートファジー / トランスジェニックマウス / アンジオテンシンII受容体ブロッカー / 心室リモデリング / ジフテリア毒素 |
Research Abstract |
私たちが作製した誘導型心不全モデルマウスではジフテリア毒素投与により心筋障害を任意に誘導できるが、その際に生じる心筋細胞死の機序を形態学的および生化学的に解析した。変性心筋では、電子顕微鏡像でオルガネラや脂肪を貪食するオートファゴソームの増加や空泡変性、クロマチン凝集と核の分葉化というautophagic cell deathに特徴的な所見が見られ、ライソゾームの膜蛋白LAMP1や蛋白分解酵素cathepsin Dの発現が亢進していた。したがって、このマウスはautophagic cell deathにより心不全が発症するユニークなモデル動物であると考えられる。最近、autophagic cell deathがヒト肥大心や不全心筋においてアポトーシスよりも高頻度で認められることが報告されており、このモデルマウスを用いた研究により心筋オートファジーの分子機構の解明が進むことが期待される。次に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬オルメサルタンの心不全治療効果について、この誘導型心不全モデルを用いて検討した。ジフテリア毒素投与2日前にオルメサルタンを満たした浸透圧ポンプを皮下に埋め込み、4週間持続的に投与を行った(0.75mg/kg/日)。オルメサルタンを投与したマウス(OLM群)はジフテリア毒素投与後2ヶ月間、死亡する個体はなく、オルメサルタンは死亡率を劇的に減少させた。また、両群とも心筋細胞死は同様に生じていたが、OLM群は偽治療群と比較して心機能障害が軽度であった。これらの結果から、オルメサルタンは心筋のautophagic cell deathを抑制する作用はないが、心臓のリモデリングの進行を防ぐことによって、心不全を改善させることが実験的に証明された。
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Research Products
(7 results)