2005 Fiscal Year Annual Research Report
誘導型心不全モデルマウスを用いた、心不全の病態解明と新たな心不全治療法の開発
Project/Area Number |
16659193
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60334190)
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Keywords | 心不全 / 拡張型心筋症 / 細胞死 / オートファジー / トランスジェニックマウス / コンディショナルノックアウトマウス / タモキシフェン / ジフテリア毒素 |
Research Abstract |
私たちが樹立した誘導型心不全マウスは心筋細胞のオートファジー様細胞死により心不全が発症するユニークなモデル動物である。一方で、ヒト肥大心や不全心でオートファジー様細胞死が数多く認められることから、オートファジーの心疾患の病態形成における役割が大きく注目されている。そこで、心筋オートファジーの病態生理学的意義を明らかにするために、オートファジー形成に必須であるAtg7遺伝子の心筋特異的ノックアウトマウスを作成した。Atg7はオートファジーの最も重要な過程であるオートファゴソーム形成過程、っまり分解する基質を二重膜構造物で取り囲んで隔離する過程に関わる因子であり、Atg7の全身欠損マウスではオートファジーが抑制されて出生後1日以内に死亡する。私たちは、Atg7遺伝子の第14エクソンをloxP配列で挟んだAtg7floxedマウスと心筋特異的誘導型Cre発現マウスを交配し、心筋特異的Atg7ノックアウトマウスを作成した。このマウスでは、通常の状態ではAtg7遺伝子の発現が見られるが、タモキシフェンの腹腔内投与によって心筋特異的にCre/loxP系によるリコンビネーションが生じてAtg7遺伝子の欠損が誘導され、さらに心筋特異的なAtg7遺伝子の欠損によって、絶食時に誘導されるオートファゴソームの形成が阻害されることが確認された。現在は、この心筋特異的Atg7ノックアウトマウスを用いて、摂食時および絶食時における心筋オートファジーの役割について、特にアミノ酸代謝やオルガネラの恒常性の維持について検討を進めている。さらに、私たちが樹立した誘導型心不全マウスと心筋特異的Atg7ノックアウトマウスを交配してその表現型を解析することで、心筋においてオートファジーがオートファジー様細胞死に対して促進的に作用するのか、あるいは細胞保護的に作用するのかを検討している。
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Research Products
(7 results)