2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗原 裕基 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20221947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 由紀子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80345040)
天野 朋和 東京大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座教員(常勤形態) (50359634)
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Keywords | 細胞分化 / 核移植 / クローン / リプログラミング / 幹細胞 / ES細胞 / 血管内皮細胞 / 神経堤細胞 |
Research Abstract |
種々の細胞をドナーとして電気融合法によりマウス除核未受精卵に核移植を行い、細胞分化とリプログラミング感受性の関係を解析した。マウス胚より単離した神経堤細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞をドナーとして核移植を行うと、胚盤胞の発生率(2細胞期胚に対する)は、幹細胞としての性質を有する神経堤細胞が最も高かった。細胞の分化度とリプログラミングの関係を系統的に調べるため、ドナー細胞としてES細胞,ES細胞由来血管前駆細胞(ES-Flk1(+))(分化条件にして4日目)およびES細胞由来血管内皮細胞(ES-PECAM1(+))(同11日目)を用いて核移植を行った。未分化ES細胞あるいはFlk1(-)細胞を核移植のドナーとしたとき、胚盤胞への発生率は7割以上であったのに対し,ES-Flk1(+)細胞またはES-PECAM1(+)細胞をドナー細胞とした場合,胚盤胞への発生率は4割程度に低下した。これらの結果より、幹細胞から分化する過程で、比較的早期に核移植後のリプログラミング能が低下することが明らかになった。次に、各ドナー細胞よりクローニングされた胚盤胞より核移植由来ES細胞(ntES)細胞を樹立し、正常ES細胞と分化特性に差があるかを調べた。分化4日目に出現するFlk1(+)細胞の割合は、ntES細胞と正常ES細胞で差はなかった。またこれらntES細胞由来のFlk1陽性をOP9上で培養した結果,血管内皮細胞と平滑筋細胞への分化が観察された。さらに、胚様体を介した心筋への分化も正常ES細胞と同様に観察された。これらの結果より,胚盤胞まで発生したものから樹立したntES細胞は、中胚葉系の一部の細胞系列に関しては未分化ES細胞と同様な分化能を有することが示唆された。
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