2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規降圧性ペプチドホルモン、サリューシンによる心筋収縮抑制作用
Project/Area Number |
16659199
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
七里 眞義 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教授 (10206097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70197466)
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Keywords | サリューシン-β / ラット / Langendorfモデル / 摘出心workingモデル / 心拍出量 / 冠血流量 / 副交感神経系 / 陰性変力作用 |
Research Abstract |
顕著な降圧活性を有する新規生理活性ペプチド、サリューシンの作用機序を明らかにするため、in vivoラットならびに摘出灌流心モデルを用いて心機能に及ぼす作用を検討した。 (1)サリューシンのin vivo効果:サリューシン-βは用量依存性に一過性で急激に平均血圧(MAP)と心拍数(HR)を減少させたが、これらと並行して大動脈血流量(AF)も減少を示した。サリューシン-α投与後、MAP、HR、AFはいずれも低下したが、その効果はサリューシン-βの1/10倍以下であった。サリューシン-β投与後、著明なMAPとHRの低下にもかかわらず全身血管抵抗の有意な変化を認めなかった。サリューシン-βによる急峻なMAPとHRの低下はatropine前投与によってほぼ完全に阻害されたが、propranololによっては影響されなかった。以上から、サリューシン-βは心収縮能だけでなく拡張能も低下させ、その作用機序として副交感神経系の関与が示唆された。 (2)摘出心におけるサリューシン-βの効果:摘出心workingモデルにおいては、サリューシン-β添加後、AFおよびMAPは低下したが、HRの明らかな減少は認められなかった。サリューシン-βにより、心拍出量、およびAFは経時的に低下し、dp/dt_<max>も減少した。従って一回拍出量、および一回拍出仕事量も減少した。しかしこの間、冠血流量は有意な変化を示さなかった。従って、摘出心ではサリューシン-βが直接心筋に対して作用し、陰性変力作用を持つことが示された。さらに、摘出心non-working(Langendorf)モデルにおいても、サリューシン-β灌流後、冠血流量の低下は認められなかった。以上からサリューシン-βの作用は冠血流の低下を介して作用する可能性は否定的であった。
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Research Products
(7 results)