2004 Fiscal Year Annual Research Report
中性子捕捉療法による血管攣縮予防と血管形成術後再狭窄予防に関する研究
Project/Area Number |
16659208
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
東丸 貴信 東邦大学, 医学部, 教授 (60180163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高垣 政雄 藍野医療短期大学, 看護学科, 講師 (70252533)
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Keywords | 中性子補足療法 / カドリニウム / 増殖因子 |
Research Abstract |
本年度は中性子補足療法による血管形成術後再狭窄予防に焦点をしぼり研究を施行した。予算の関係上(250万より140万円に減額)、細胞培養実験は中止した。実験方法と結果は次のとうりである。350-450gのラットをペントバルビタール1-2mgの静脈投与で麻酔し、大腿動静脈を露出した。ヘパリン100単位/kg投与後に、右総腸骨動脈と大動脈をカイドワイヤーで傷害した。血管の障害後、原子炉内において、大腿静脈よりガドリニウム(Gd) GdDTPAを持続静脈投与しながら中性子照射療法を行った。中性子線を照射することにより血管内でのみ157Gd(n,g)158Gd中性子補足反応(Gadolinium Neutron Capture Reaction)を持続的に起こさせ内部転換電子を血管に照射できる。照射1月後に血管を摘出し、病理検索のためパラフィン切片を作り、ヘマトキシリンエオジン染色等で内膜の肥厚度を組織病理学的に評価し、血管障害のみの対照群と比較した。また、VEGE, b-FGF等の増殖因子の発現を免疫組織染色で検討した。中性子捕捉療法が行えた14匹中8匹と対照群12匹中8匹で1月後の血管内膜肥厚度が評価され比較検討された。中性子捕捉療法群では内膜肥厚が完全に抑制され内膜は修復されていなかったが、対照群では内膜肥厚と内皮修復が認められた。内膜/中膜比(I/M%)は対照群では74±31.9%(平均±標準偏差)GdDPTA投与によるGdNCT群では8±42%であった(P<0.001)。対照群の肥厚内膜ではVEGFおよびPDGFの発現が顕著にみられたが、照射群の血管では内膜側に細胞成分が乏しく増殖因子の発現は軽度であった。VCAM1には差がみられなかった。以上より、中性子捕捉療法により血管内膜増殖肥厚ひいては血管形成術後再狭窄が予防できる可能性が示唆された。
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