2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659227
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 秀直 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80281806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60372273)
緒方 昭彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 非常勤講師
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Keywords | 脳神経疾患 / 遺伝子 / 多系統萎縮症 / 脊髄小脳変性症 |
Research Abstract |
我が国において脊髄小脳変性症の70%は非遺伝性疾患が占める。その多くは成人発症であり、かつ60-70%程度が多系統萎縮症(以下MSA)と推定されている。MSAは主に稀突起膠細胞の細胞質内に不溶化したα-シヌクレイン(αSYN)が過剰に蓄積することを特徴とする。蓄積したαSYNの一次構造、及びαSYN遺伝子には異常のないことが既に確認されている。αSYNは元来は神経突起に発現し、シナプス機能の維持に関与していると推定されている。MSAにおけるαSYNの異所性発現、翻訳後修飾、過剰蓄積などはMSAの発症機序と密接に関わっていると推定されているが、その原因は不明である。MSAは成年期以降に発病する非遺伝性神経変性疾患であり、その発症には複数の遺伝的素因が関与しているものと推定されている。発症に関わる素因遺伝子の特定には関連解析が有効な方法の一つである。本研究は関連解析に必要な試料の収集と技術習得を目標としている。平成16-17年度の2年間において、北大病院神経内科を通院したMSA患者を対象として、家族歴、神経学的症候を行った。その結果、非遺伝性と見なされているMSAにおいても、一部に家族内発症を来す場合のあることが明らかとなった。関連解析については、医の倫理委員会の承認を得て文書による説明と同意をもとに、ゲノム収集を行っている。現在は集積された試料をもとに、αSYNの転写に影響与える転写因子のSNP多型解析を進めているが、統計学的に有意な相関を示すものは見いだされていない。来年度も引き続き、試料の集積と多型解析を継続する予定である。この研究には対象数が多数必要となるので、国内の他施設において同様の研究計画がある場合には共同研究を進めることを考慮しているところである。
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