2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳脊髄液によるアミロイドβ蛋白線維化抑制現象の解析と臨床応用
Project/Area Number |
16659230
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 正仁 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (80191336)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / 脳脊髄液 / 血漿 / 重合・線維化 / 検査法 / コエンザイムQ10 / NSAIDs |
Research Abstract |
ADおよびnon-AD患者の脳脊髄液がAβ線維(fAβ)形成にどう影響するかを解析し、患者臨床・検査データとの関連を検討したところ、AD群、non-AD群の両者共にfAβ(1-40)およびfAβ(1-42)形成を阻害したが、non-AD群の方がAD群よりも有意に強く線維形成を抑制し、fAβ形成の最終レベルは脳脊髄液中のAβ(1-42)レベルと最も強く逆相関していた(Neurobiol Dis 2005)。すなわち、AD患者はfAβ形成を促進するような脳脊髄液環境を有していることが明らかになった。 この脳脊髄液の解析結果に基づき、血漿においても同様の現象がみられるかどうかを解析したところ、健常者あるいはnon-AD患者に較べて、AD患者の血漿では、脳脊髄液と同様に、fAβ形成が促進されることが明らかになった(論文投稿中)。 現在、Aβ線維化に影響する脳脊髄液中の分子について網羅的な検索を進めている。 本研究により、ADでみられるAβ線維化を促進する脳脊髄液・血液環境の検出が、ADの早期診断に有用であることが示された。 また、本研究により、Aβ線維化の修飾がADの予防・治療に重要な標的であることが裏付けられた。Coenzyme Q10、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ferulic acidがAβ線維化を抑制するばかりでなく、fAβを不安定化させ分解する作用があることを明らかにし、AD予防・治療薬としての可能性を示した(BBRC 2005a ; Neuropharmacology 2005 ; BBRC 2005b)。
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