2004 Fiscal Year Annual Research Report
テトラマーを用いた細胞傷害性Tリンパ球の刺激法の開発
Project/Area Number |
16659233
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
久保田 龍二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70336337)
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Keywords | 細胞傷害性Tリンパ球(CTL) / HLA / 抗原複合体 / 細胞増殖 / 副刺激分子 / 免疫療法 |
Research Abstract |
ヒト白血球抗原(HLA)の四量体(テトラマー)と抗原の複合体が開発され、抗原特異的Tリンパ球のT細胞レセプター(TCR)に結合するため、詳細な細胞性免疫の研究が可能となった。一方ウイルス感染症においてはウイルス特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)がウイルス排除に重要な役割を果たしている。ウイルス特異的CTLを増強する免疫療法ができれば、急性および慢性のウイルス感染症の制御が可能になると考えられる。本研究では、HLA多量体/抗原の複合体を用いて、CTLの選択的増強法を開発することを目標とした。計画書申請の段階では四量体(テトラマー)のみが入手可能であったが、その後TCRへの結合力が増加した五量体(ペンタマー)が開発されたため、主にペンタマーを用いて研究を行った。HTLV-I Tax11-19特異的CTLが高頻度に観察されるHLA-A2陽性HTLV-I感染患者を選択し、末梢血リンパ球をFicoll法で分離した。これにHLA-A2/HTLV-I Tax11-19ペンタマーを各種濃度で添加し、IL-2を添加して4-5日培養し増殖反応を測定したが、ペンタマー添加による有意な細胞増殖は観察できなかった。リンパ球の増殖にはTCRからのシグナルが必須であり、細胞表面のCD28分子やCD49d分子などの副刺激分子からの副シグナルも必要である。そのため、ペンタマーとともにCD28を刺激するための抗CD28抗体を培養液に添加して増殖反応を観察したが、有意な増殖は認めなかった。さらに、HTLV-I Tax11-19特異的CTL株を新たに樹立し、同様の実験を行ったが有意な増殖を認めなかった。現時点での実験条件ではTCRのクラスター化が不十分であり、細胞増殖のための十分なシグナルが入っていない可能性があるため、細胞を濃縮した状態での刺激や固相化等にて条件を整える予定である。
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Research Products
(1 results)