2006 Fiscal Year Annual Research Report
臓器鉄過剰蓄積を制御する可溶性トランスフェリン受容体1、2ファミリー
Project/Area Number |
16659248
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥本 悦宏 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (00281882)
大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10359490)
佐藤 一也 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50360988)
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Keywords | 鉄 / トランスフェリン / トランスフェリン非結合鉄 / DMT-1 / アルコール / 肝細胞 / ヘプシジン / トランスフェリン受容体 |
Research Abstract |
鉄過剰症における主要な鉄沈着臓器である肝への鉄の取り込み機構に関しては、従来からトランスフェリン受容体(TfR)1および2を介した血清トランスフェリン(Tf)鉄の経路がよく検討されてきた。しかしながら鉄過剰症では、血清中にTf非結合鉄(non-transferrin bound iron : NTBI)が存在する。これらNTBIは肝臓に速やかに取り込まれるが、その詳細は明らかにされていなかった。そこで、消化管における鉄取り込みや、細胞内エンドソームから細胞質への鉄移動のトランスポーター分子であるDMT-1が、肝細胞における血清NTBI取り込みに関与するかどうかをくヒト肝癌細胞株であるHuH-7にDMT-1遺伝子を導入して検討した。遺伝子導入細胞株におけるDNT-1蛋白は、細胞膜表面にも発現した。また、この遺伝子導入細胞株では、Tf鉄の取り込みは変わらないが、 NTBIの取り込みは著明に亢進した。これらの結果から、肝細胞におけるNTBIの取り込みには肝細胞表面に発現したDMT-1が関与する可能性が考えられた。 一方、最近、体内鉄代謝を負に調節する肝細胞由来の液性因子としてヘプシジンが注目され精力的に研究されている。我々もヘプシジンの慢性炎症時における発現調節機構について明らかにしたが、アルコール摂取時には肝臓に炎症を認めないにも関わらず肝組織に鉄蓄積を来すことから、アルコール摂取時におけるヘプシジンの発現に注目した。アルコール性肝疾患患者血清中のプロヘプシジン濃度は健常者に比較して優位に低値を示した。そこでマウスにアルコールを負荷したところ肝組織におけるヘプシジンmRNAの発現は低下した。すなわち、アルコール性肝疾患患者では、肝でのヘプシジン産生が低下することで消化管からの鉄吸収が増加し、血清中で増加した鉄が肝細胞に蓄積するものと推測された。
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