2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血系の構築および悪性化を制御するマスター遺伝子の同定
Project/Area Number |
16659249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80312320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 隆司 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10376436)
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Keywords | AML1 / 造血細胞 / ノックアウトアウス / AGM培養 / 転写活性化能 |
Research Abstract |
AML1は成体型造血の幹細胞の産生に重要な役割を果たす転写因子である。AML1の機能不全は造血系の欠如を引き起こすとともに、臨床的には高頻度にヒト白血病発症に関与する。しかしAML1の造血細胞産生能を効率的に評価する系がないため、AML1がどのような機能を通して造血系を構築・維持するかは不明である。最近、われわれはストローマ細胞上でマウスの大動脈・性腺・中腎(aorta-gonad-mesonephros: AGM)領域を培養することにより、in vitroで造血細胞の産生を再現する系を確立した。この系では、AML1ノックアウトマウス由来のAGM領域(AML1-/-AGM)からは造血細胞が産生されない。本研究ではまずAML1-/-AGMにレトロウィルスを用いてAML1を再導入し、造血細胞の産生を回復する系の樹立を試みた。条件検討の結果、SCF,IL3,OSMを含む培地でOP-9細胞と共培養した胎生9.5日のAML1-/-AGMに対して、AML1を発現するレトロウィルスを感染させることにより、効率的に造血細胞の産生を回復させることに成功した。産生された造血細胞は、野生型AGM由来のものと同様に、CD45,CD34,Sca-1,c-Kit,Gr1/Mac1などの造血系表面マーカーを発現していた。この系を利用してAML1のさまざまな変異体の造血回復能を調べたところ、AML1のDNA結合領域と転写活性化領域の両者が造血細胞産生能に必要であった。またわれわれがヒト症例から見出したAML1変異体(AML1 R139G)は、造血能を失っていた。またAML1のアイソフォームであるAML2やAML3も、AML1-/-AGMの造血細胞産生を回復することが明らかとなり、アイソフォーム間での機能的な重複が判明した。
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