2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・おとぎり草から抽出した新規天然有機化合物(GUT-70)の抗腫瘍効果
Project/Area Number |
16659254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80229286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 晋也 京都大学, 医学研究科, 助手 (80359794)
湯浅 健 京都大学, 医学研究科, 助手 (00314162)
井藤 千裕 名城大学, 薬学部, 講師 (60193497)
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Keywords | GUT-70 / 白血病 / クマリン / カスパーゼ / p53 |
Research Abstract |
われわれは、平成16年度科学研究費(萌芽研究)を受け、ブラジル・おとぎり草Calophyllum brasilienseから抽出された新規天然有機化合物(GUT-70)の抗腫瘍効果について検討した。 GUT-70は、5-methoxy-2,2-dimethyl-6-(2-methyl-1-oxo-2-butenyl)-10-propyl-2H,8H-benzo[1,2-b;3,4-b']dipyran-8-one(C_<23>H_<26>O_5)で示される3環系クマリンに属する化合物であり、検討した6種類の白血病細胞株(P糖蛋白高発現株も含む)をIC_<50>2-5μMで濃度・時間依存性に増殖抑制した。しかしGUT-70は30pMまでは正常ヒト造血前駆細胞のコロニー形成能および正常ヒト肝細胞の増殖を阻害しなかった。GUT-70はカスパーゼ2,3,8,9を活性化し白血病細胞にアポトーシスを誘導した。カスパーゼ阻害剤によってGUT-70のアポトーシス誘導は抑制された。これらから、GUT-70で誘導されるアポトーシスはカスパーゼ依存性であることが明らかとなった。GUT-70の投与によって白血病細胞では、p27^<KIP1>およびp57^<KIP2>は誘導されたが、p53およびp21^<WAF1/CIP1>は誘導されなかった。さらにGUT-70は、ヒトパピローマウイルスtype-16E6の発現によってp53機能不全を呈するヒト大腸がん細胞株に対しても親株と同等に増殖抑制作用を示した。これらの結果から、GUT-70は骨髄毒性を示さない低濃度で抗腫瘍活性を有し、多剤耐性株にも有効であり、またp53の誘導を利用せずに効果を現すことから、より多くの難治性腫瘍に有効である可能性が示された。
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Research Products
(7 results)