2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・おとぎり草から抽出した新規天然有機化合物(GUT-70)の抗腫瘍効果
Project/Area Number |
16659254
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80229286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 晋也 京都大学, 医学研究科, 助手 (80359794)
芦原 英司 京都大学, 医学研究科, 助手 (70275197)
井藤 千尋 名城大学, 薬学部, 助教授 (60193497)
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Keywords | 白血病 / 分子標的治療薬 / おとぎり草 / 3環系クマリン / 天然化合物 / アポトーシス |
Research Abstract |
われわれは世界の熱帯地域に生育し、各地で民間伝承薬として使用されている植物から天然有機化合物を抽出し、構造決定後抗腫瘍効果のスクリーニングを続けてきた。その過程で、300種類以上の化合物の中からブラジルに生育するおとぎり草の茎から抽出された3環系クマリン(GUT-70と命名)が抗がん作用を有し、この作用がP糖蛋白に阻害されず、外因系経路によってアポトーシスが誘導されることが示唆された。本研究の目的は、GUT-70のさらに詳細なアポトーシス機序を明らかにし、標的分子の同定を行なうと同時に、GUT-70の骨格を基本とした誘導体を合成し、より強力な抗腫瘍活性を有し、かつ安全性の高い化合物を得る目的で本研究を行った。 平成17年度に得られた成果は、おもにin vitroにおいてGUT-70を用いて検討したものであり、以下に列記する。 (1)各癌腫での効果:白血病、胃癌、大腸癌、腎癌、前立腺癌、肺癌、骨髄腫の各細胞株に対してGUT-70を投与し、増殖抑制効果をMTTアッセイを用い測定し、このうち特に白血病細胞株BV173,K562,NALM6,HL60,SEM、大腸がん細胞株HCT116の増殖を著明に抑制した。 (2)GUT-70によるアポトーシス誘導機序を検討したところ、その作用はp53非依存性でp27Kip1およびp57Kip2の誘導による外因性アポトーシス誘導経路が関与していることを明らかにした。 (3)GUT-70の基本骨格をもとに、種々の誘導体を合成し、その抗腫瘍活性を白血病細胞株の増殖抑制を指標にスクリーニングを行った。しかし、GUT-70の効果を遥かに凌駕する化合物の同定には至らなかった。
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Research Products
(8 results)