2004 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類ES細胞からの無フィーダー、無血清培養における血液細胞分化システムの確立
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16659260
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
湯尾 明 国立国際医療センター(研究所), 血液疾患研究部, 部長 (90221663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 久美子 国立国際医療センター(研究所), 血液疾患研究部, 室長 (80322717)
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Keywords | ES細胞 / 血液細胞 / 血管内皮細胞 / 無フィーダー培養 |
Research Abstract |
カニクイザル未分化ES細胞を放射線照射したOP9細胞の培養上清中で6種類のサイトカイン(VEGF, BMP-4,SCF, Flt3-ligand, IL-3,IL-6)存在下に培養すると、培養開始後数日で「指」のような形状を有する細胞へと極めて均一に分化した。フィーダー細胞は存在せず、「指様」細胞のみの単層培養となり、形態観察が極めて容易であった。 この指様の細胞を、さらに1、2週間培養すると大部分の細胞が球状の細胞へと変化した。この球状の細胞は、CD45、CD34が何れも高率(60-80%)で陽性で、未分化血液細胞で有ると考えられた。このような未分化血液細胞は、極めて高効率に1次コロニーを形成し、2次コロニーの形成も認められた。 この未分化血液細胞を、MS5の培養上清でさらに2週間培養すると、単球様の形態を有し、CD14抗原陽性で、NBT還元能陽性の細胞が出現し、単球・マクロファージ系への分化が誘導されたと考えられた。 指様の細胞は、ある種の条件で異なる培養皿に移すと、敷石上の形態を有する細胞に均一に変化し、それらの細胞はCD34、CD45陰性で、VEカドヘリン、PECAM-1陽性で、血管内皮細胞と考えられた。さらに、この細胞はcord formation陽性であることからも血管内皮細胞で有ることが確認された。 以上より、指様の細胞は血液細胞と血管内皮細胞の両方に分化したことから中胚葉系の細胞、もしくはhemangioblastsと考えられ、Flk-1陽性、VEカドヘリン陰性であった。 この様な指様の細胞の増殖能は高く、大多数の細胞が血液細胞となった時点で浮遊している血液細胞を回収して、培養皿の表面にわずかに指様の細胞が残る状態から、再度活発に増殖して培養皿いっぱいになり、再び球状の血液細胞を大量に産生した。
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