Research Abstract |
ホリスタチン関連蛋白(follistatin-related protein, FRP/FSTL1)は関節リウマチ(RA)における自己抗体の対応抗原の一つであるだけでなく,RAでの関節破壊を抑制する潜在的作用を有する分子である.FRPは滑膜細胞においてTGFβにより誘導され,RAにおける関節破壊の主要なエフェクターであるMMP-1,MMP-3およびプロスタグランディンE_2の滑膜細胞からの産生を抑制し,さらにマウスを用いた生体実験で関節炎抑制作用を示した.このFRPの作用機序を解明するため,そのリガンドのクローニングを行った. 方法として,ヒトFRPをbaitとし,FRPの高発現を認めるヒト心臓由来cDNAライブラリーをpreyとする酵母のtwo-hybrid法を用いた.クローニングしたcDNAは酵母に再導入し,FRPとの相互作用を確認した.塩基配列および蛋白の構造予想はそれぞれFASTAおよびPredictProteinプログラムを用いて解析した. その結果,重複したクローンを除く10クローンのうち,4クローン:A7,A45,A94,C63が残った.A7は未知蛋白,A45はCD14,A94はヘパラン硫酸プロテオグリカンの中核蛋白であるglypican 1,C63は横紋筋細胞に豊富な巨大繊維性蛋白titin(connectin)をコードしていた.A7は5'RACE法により全長6,981bpをクローニングした.A7の全長cDNA産物は,N末端が細胞質内でC末端が細胞外にあり,3つの膜通過部位を有する膜蛋白であり,N末端にAMP結合部位があることが予想された.またRT-PCRでヒト滑膜細胞株SF-1でA7の発現を認めた. glypican 1とCD14は,それぞれendostatinとLPSおよびLPS結合蛋白(LBP)の受容体として知られる.FRPはこれらの蛋白と相互作用する可能性があるが,未知の受容体蛋白であるA7がFRPの特異的受容体であると考えられた. 現在,BIACOREによるリコンビナントA7蛋白とFRPのアフィニティー解析と,テトラサイクリン調節発現システムを用いたヒト滑膜細胞株SF-1のA7トランスフォーマントを作成し解析をすすめている.
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