2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児のけいれん重積に起因する脳障害防止のための研究-細胞死関連蛋白に注目して-
Project/Area Number |
16659275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 利三郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50124748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 康至 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70303948)
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Keywords | けいれんモデル / けいれん重積 / カイニン酸 / 脳障害 / c-fos |
Research Abstract |
1年目で条件設定を行った生後8週雄ラットにおける、カイニン酸投与ラットにおいて、組織学的検討を進めた。生後8週ラット4匹の腹腔内にカイニン酸を10mg/kg投与し、けいれん重積を惹起せしめた後に、24時間後、7日後にそれぞれ脳の組織化学的検討を行った。コントロール群は同様に生理食塩水を投与した。還流は組織化学染色を中心に行うため、4%ホルマリン、0.25%グルタルアルデヒド、0.3%ピクリン酸混液で還流固定し、さらに追加固定後、15%グルコース液に保存し、以下の検討を行った。けいれん現象に関連の深い中脳から吻側について、ビブラトーム切片を作成し、一般染色を行うとともに、nNOS、c-FOSで免疫染色を行った。n-Nosの染色性については、24時間後、7日後ともに、大きな変化は認めなかった。一般染色では、24時間後脳では著変を認めなかったが、7日後の脳において、primary olfactorycortexからEntorhinal cortex、Perirhinal cortexにかけて著しい細胞脱落を認めた。海馬では優位な細胞脱落は認めなかった。一方c-fosに対する免疫染色では、24時間後の脳においては、中核野、扁桃体外側基底核、海馬C3領域、でc-fosの発言の増加を認め、特に視床のcentral thalamic nucleusを中心に髄板内核領域に、著しいc-fosの発現の増加を認めた。大脳皮質では、頭頂部から側頭部領域にかけて、軽度のc-fos染色の増加を認めたが、優位な変化ではなかった。このようなc-fosの染色性の増加は、7日後の脳においては優位ではなかった。カイニン酸の腹腔内投与にもとづく全身けいれんにおいては、海馬を中心とする辺縁系の壊死が指摘されているが、今回の実験群では海馬の変化は乏しかった。一方神経細胞の興奮活動の指標としてのc-fosの発現は辺縁系とともに、視床正中部にきわめて強く認められた。この領域の限局した変化はこれまで報告されていない。視床正中部か髄板内核にかけての領域は、皮質に投射する視床の活動の調節系であり、われわれの以前の研究から抑制性のGABA神経が豊富に存在する領域であることが推測されている。この領域にc-fosが強く発現していたことは、カイニン投与による全身けいれんのメカニズムを考える上で、興味ある所見であると考える。この結果の第1報を平成17年度のてんかん学会において発表した。
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Research Products
(1 results)