2004 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病との関連が推定される新規ウイルスの同定と川崎病の病因解析
Project/Area Number |
16659277
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 俊朗 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教授 (50185641)
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Keywords | 川崎病 / SEREX / 抗原 / 抗体 / 心臓 / RT-PCR / cDNA / ウイルス |
Research Abstract |
川崎病は乳幼児の急性熱性疾患で、中小動脈に起こる全身性の血管炎が特徴である。川崎病の血管炎の病因因子を同定する目的で、TNF-α刺激ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)由来のcDNAライブラリーを4人の回復期の川崎病患児の血清でスクリーニング(SEREX法)し、46個の遺伝子を同定した(Microbiol.Immunol.,2004)。重症例では冠状動脈瘤が形成され、冠状動脈血栓による心筋梗塞または動脈瘤破裂により死亡する例が存在する。本研究では正常心筋由来cDNAライブラリーを回復期の川崎病患児血清を用いて同様な方法でSEREX解析を行った。この結果合計19個の遺伝子を単離した。データベースによるホモロジー検索の結果、これらはほぼすべて新規遺伝子であった。コードするタンパク質は様々なウィルスタンパクと一部相同性を示し、未知のウィルスとの関連が示唆された。インサートcDNAの解析を行った結果、クローン1gは全長約2,800bp、クローン2aは約3,500bpであった。特にクローン1fは全長501bpで、129アミノ酸からなるタンパク質をコードしていた。心筋炎や冠状動脈に炎症をきたした川崎病患児の心臓パラフィン切片5例、対照として心臓にいかなる炎症も認められなかった病理解剖心臓パラフィン切片5例を入手し、これらのパラフィン切片よりトータルRNAを抽出した。クローン1f遺伝子の発現について数種の特異的プライマーペアを作成してRT-PCR法で解析し、川崎病患児心臓と正常(非炎症性)心臓での発現を比較検討している。さらに、クローン1fの^<32>P標識全長cDNAをプローブとしてノーザンブロット法により各種正常組織での1f遺伝子の発現を解析している。他のクローンについてもクローニングを進め、全長cDNAの塩基配列を解析を進めている。
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Research Products
(6 results)