2004 Fiscal Year Annual Research Report
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の退院と社会復帰を促進する要因の解析
Project/Area Number |
16659309
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
吉川 和男 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・司法精神医学研究部, 部長 (00302894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 幸之 国立精神・神経センター, 司法精神医学研究部, 室長 (40282769)
松本 俊彦 国立精神・神経センター, 司法精神医学研究部, 室長 (40326054)
柑本 美和 国立精神・神経センター, 司法精神医学研究部, 研究員 (30365689)
野口 博文 国立精神・神経センター, 司法精神医学研究部, 研究員 (80392447)
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Keywords | 司法精神医学 / 触法精神障害者 / 心神喪失 / 医療観察法 |
Research Abstract |
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する医療及び観察に関する法律(医療観察法)制度の全対象者を継続的に追跡調査していくため、デザインはプロスペクティブなシングル・コホート・スタディとなると思われた。デザイン作成の上で、重要なことは、アウトカムをどのように設定するかである。先行研究においては、PCL-RやHCR-20を始めとする再犯や暴力等のリスクに関するアウトカムを設定しているものがほとんどであるが、医療観察法の主目的が対象者の社会復帰にあることを考慮すれば、この領域に関するアウトカムを設定しなければ、法の運用状況を適切にモニタリングすることは不可能であると思われた。国際生活機能分類ICFは、障害というネガティブな側面よりも活動や社会参加というポジティブな側面を重視している点において、この法律の趣旨に沿った評価が得られる可能性が示唆された。しかし、ICFは標準化という点においては、まだ未成熟な段階にあり、ICF自体の成熟を待たなければならないと思われた。さらに、この医療のサービス水準を維持し、監査指導していくためには、独自の評価尺度の開発も求められる。 このように対象者の社会復帰を促進する要因を解析するために必要とされるデータ項目の選定と同時に、膨大なデータを効率的に収集するため、各種業務報告の書式を用いたデータ入力支援システムについても開発を行った。また、専門的医療の向上と運用状況の分析に必要な諸変数を各地の指定医療機関から収集解析し、制度運用上の問題点や具体的な改善計画を示し、外部評価班での評価を経た上で、関係機関や関係省庁に定期的に報告される包括的なシステムについても検討した。このようなシステムを開発することによって、この制度の専門的医療の向上を図ると同時に、5年後の制度改正の必要性を根拠づけるための客観的なデータを集積、提供することが可能になると思われた。
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Research Products
(1 results)