2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射線損傷における血管損傷の寄与の選択的血管照射による解明
Project/Area Number |
16659318
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 憲司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30247928)
鈴木 実 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (00319724)
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
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Keywords | SCCVII腫瘍 / BSH / リポゾーム / 腸管死 / 骨髄死 |
Research Abstract |
本年度は選択的照射法を確立することに専心した。これまでの知見に基づいて平均直径300nmのサイズの大きいPEG-BSH-Liposomeを作成した。平均体重22gの扁平上皮癌SCCVII腫瘍を移植したC3H/He雌マウスの尾静脈からPEG-BSH-Liposomeを注入し、30、75、120分後に心臓穿刺にて採血、更に死亡直後に腫瘍を摘出した。それらの硼素濃度を即発γ線分析にて測定すると、血中濃度は注入後120分までの間、200-300ppmにて推移し、腫瘍は8-13ppmで推移した。Free BSHの場合、血中濃度と腫瘍濃度の比は約2であり、20倍以上の大きな差は、腫瘍においてさえ300nmのPEG-BSH-Liposomeは血管外に漏出しないことを示唆するものである。 次に、PEG-BSH-Liposomeを注入した30分後に担癌マウスの全身に熱中性子を照射し、腫瘍細胞に対する効果をコロニー法によって評価した。同時に熱中性子照射のみの群との比較を行った。両群の生存率曲線を比較するとPEG-BSH-Liposome注入群で生存率がやや低くなる傾向が見られたがその差は僅かであった。このことはPEG-BSH-Liposomeが良く血中に保持され腫瘍血管においさえ外へ殆ど漏出しないことを示すものである。 非担癌マウスを同様の条件にて照射し照射後の生存率の推移を調べると、血中硼素濃度から計算した血管壁の線量が28-36Gyの揚合、マウスの死は発生しなかった。PEG-BSH-Liposomeの増量に因って線量の増加を図った73-91Gy群と87-109Gy群では全てのマウスが12日以内に死亡した。下血、下痢を認めず死亡時期から考えて死因は骨髄障害に因るものと思われた。腸管死の第一標的は腸管の毛細血管内皮細胞の死であるとする説に疑問を呈する結果である。
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Research Products
(6 results)