2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパーサーミアによるヒストンH2AXのリン酸化機構の解明
Project/Area Number |
16659324
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 昭久 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60275336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 健 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50152195)
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Keywords | ハイパーサーミア / DNA二本鎖切断 / ピストンγH2A / 温熱感受性 / 温熱抵抗性 / 細胞周期 / アレニウスプロット / コメットアッセイ |
Research Abstract |
ヒト肺がん細胞H1299を用い、X線照射した細胞と同様に、温熱処理した細胞で中性コメットアッセイ法によるTail moment(DSBによる断片化DNAの量)が温熱処理時間に依存して増大することを示した。また、γH2AXのフォーカス形成の検出は中性コメットアッセイ法に比べて、温熱短時間の処理で感度良く検出可能であった。温熱処理時間とγH2AXのフォーカス形成数が直線的な関係であること、Wongらによるパルスフィールド電気泳動法によるDSB生成量の測定結果の外挿値とも非常に一致していることを明らかにした。この結果から「X線と同様に温熱でDSBが生成する」ことが証明できた。さらに、温熱(41.5-45.5℃)処理時間とγH2AXフォーカス数を調べた結果、42.5℃に変曲点をもつ生成曲線が得られ、γH2AXフォーカス形成に要するエネルギー量は42.5℃以上で655kJ/mol、42.5℃以下で1301kJ/molであった。温熱感受性も、42.5℃に変曲点をもつ生存率曲線が得られ、細胞の不活性化エネルギー量は42.5℃以上で643kJ/mol、42.5℃以下で1130kJ/molで、γH2AXフォーカス形成に要するエネルギー量と非常に近似した値であった。また、細胞周期依存的な温熱感受性およびあらかじめの温熱処理による温熱耐性について、温熱誘導γH2AXフォーカス形成率との間に相関性を見出した。以上のことから「温熱感受性の主要因はDSBである」ことを我々は世界に先駆けて明らかにした。上記の成果はCancer Res.,64,8839-8845,2004に発表した。
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