2004 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線を用いた毛細血管内の非侵襲酸素交換動態画像法の開発
Project/Area Number |
16659328
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Research Institution | Hamano Life Science Research Foundation |
Principal Investigator |
加藤 俊徳 財団法人濱野生命科学研究財団, 研究員 (20358815)
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Keywords | 脳 / 酸素交換 / 脳酸素交換機能(COE) / 近赤外線 / 毛細血管 |
Research Abstract |
酸素の計測は、酸素の分子が小さすぎて、非侵襲に頭皮上から直接的に出来ない。しかし、酸素が毛細血管から組織の細胞へ移動する酸素交換が起こることで、その酸素交換機能を観察することが可能になった。従来、酸素交換といえば、肺の酸素交換で、肺では、下水道のような静脈血が酸素を大量に含んだ新鮮血に置き換わる。この現象は、脱酸化ヘモグロビン(Hb)(静脈血)と酸素が肺で結合して、酸化型Hb(動脈血)に変わる反応である。一方、組織に酸素を供給する毛細血管内では、逆の現象が起こる。酸化型Hb(動脈血)が酸素を離して、脱酸化Hb(静脈血)に変わる反応である。その結果、毛細血管内では、酸化型ヘモグロビン(動脈血)が酸素を離して低酸素化する現象とその後に、新鮮な酸化型Hbが流れ込んでくる現象の2つが起こると想定される。この酸素消費反応をFORCE (fast oxygen response in capillary event)効果、酸素供給反応をWatering the garden効果(略してWATERING効果)と命名した。 今回、開発した脳酸素交換機能マッピング(Cerebral functional mapping of Oxygen Exchange : COE)は、近赤外光を頭皮から照射して、脳細胞の活動に対応して毛細血管で光が散乱反射する光機能画像法の原理を利用する。COEには、頭皮上から最も近い大脳皮質を選択して、酸素消費反応によるFORCE (fast oxygen response in capillary event)効果、酸素供給反応によるWatering the garden効果(略してWATERING効果)からなる脳酸素交換機能地図を作成する技術が用いられる。血液を利用した非侵襲の脳機能計測では、脳血流ではなく脳毛細血管内の酸素交換機能が神経活動と直接的に結びつく。酸素交換機能は、酸素の利用に依存して、同じ脳の場所であってもさまざまな状態を示す。FORCE効果検出は、他の脳機能検査に比べて、酸化型Hbと脱酸化Hbを同時に計測するCOEが、もっとも優れている点である。
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