2004 Fiscal Year Annual Research Report
メニンによるエストロゲンレセプター転写調節機構の解明
Project/Area Number |
16659336
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山内 清明 国立大学法人香川大学, 医学部, 客員教授 (00291427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 実 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 助手 (50322269)
村尾 孝児 国立大学法人香川大学, 医学部附属病院, 助手 (20291982)
中川 竜介 国立大学法人香川大学, 医学部, 助手 (10360603)
安部 博子 国立大学法人香川大学, 医学部, 助手 (40363220)
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Keywords | メニン / 乳がん / ホルモン療法 |
Research Abstract |
乳がんのホルモン治療では抗エストロゲンレセプター阻害剤タモキシフェンの投与が主流であるが、エストロゲン合成そのものを阻害する薬剤も開発、販売され、既に多くの臨床試験で有用性が証明されている。しかし骨粗鬆症などの副作用もあり、従来からあるタモキシフェンとの使い分けが問題として挙げられるが、2005年国際乳がん術後補助療法カンファレンスでもその使い分けに関しては結論が得られず、タモキシフェンが依然標準治療という結論となった。現状ではエストロゲンレセプター陽性乳がん患者にタモキシフェンを投与する場合5年間投与が推奨されているが、それでも再発患者数はタモキシフェン非投与患者の53%までしか改善しない。もしエストロゲンレセプター陽性患者におけるタモキシフェン効果予知因子が発見され、タモキシフェン無効例が手術直後に抽出できれば、エストロゲン合成阻害剤を選択することで治療効果の向上が期待できる。 メニンは多発性内分泌腺腫症I型の責任遺伝子men1の遺伝子産物で、核内に存在し、内分泌腺の腫瘍化に深く関係している。乳がん細胞におけるメニンの発現を検討したところ約半数の乳がん摘出標本でエストロゲンレセプターと同様に核に存在した。そこで乳がん細胞におけるメニンとエストロゲンレセプターとの機能上の関連をまずreporter gene assayで調べたところ、メニンを強制発現させたmen1遺伝子導入乳がん細胞においてはエストロゲンレセプターの転写活性は約5倍増強しており、さらにタモキシフェンによる転写抑制機能は阻害された。またGST-pull down assayではメニンはエストロゲンレセプターと結合しており、mammalian two-hybrid assayではその結合部位はエストロエゲンやタモキシフェンと同じくAF2ドメインであった。以上よりメニンはエストロゲンのエストロゲンレセプターとの結合を強固にすることでタモキシフェンの効果を阻害する可能性があり、タモキシフェン効果予知因子となりうることが示唆された。
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