2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト摘出肝からの肝progenitor cellの分離・保存と細胞移殖
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16659339
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
兼松 隆之 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (40128004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 晋 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80404218)
高槻 光寿 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80380939)
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Keywords | progenitor cell / 末期肝疾患 / 肝移植 / 肝細胞移植 |
Research Abstract |
肝移植の代替手段として期待されている肝細胞移植も肝移植と同様に、肝細胞供給不足の問題を解決できていない。そこで肝内の多分化能を有するprogenitor cellの利用を考え、研究を行なってきた。前年度は生体肝移植摘出肝の中でのprogenitor cellの染色を行ない、病変別にその多寡、局在を検討した。本年度は生体肝移植を施行した摘出末期病的肝より肝細胞分離を行い、その可能性の検討と、培養可能であったprogenitor like cellの動態を観察した。 (対象と方法)対象は当科にて生体肝移植を施行した58例中8症例。原疾患はHBV2例(HCC合併2例)、HCV4例(HCC合併2例)、PBC1例、アルコール性肝不全1例であった。細胞分離の方法は、摘出肝を一部切除し、門脈内にコラゲナーゼを注入した。肝細胞濾過液にDMEMを加え、600rpm、3分間遠心を計3回行った。均一な肝実質細胞を得た後、細胞数、trypan blue testにてViabilityを計測し、ディッシュに播種し、培養を開始した。さらに初回遠心後の上清を3000rpm、3分3回遠心し、得られたProgenitor cellを混じていると考えられる非実質細胞分画(小型肝細胞、非実質細胞)の細胞数、Viability計測し、培養を行った。 (結果)使用した肝湿重量は21±14.1gであった。その組織より肝実質細胞を2.3×10^7±2.1×10^7個分離可能であったが、viabilityは36.1±29.7%であった。また、非実質細胞は2.0×10^7±1.5×10^7個でviabilityは51.3±36.2%であった。肝摘出から分離開始までの時間は374±132.3分で、viabilityと相関があった。長期間培養できたのは1例のみであった。 (結語)末期肝疾患からの細胞分離はviabilityは低いものの、可能であった。対象疾患が肝硬変や肝不全といった肝移植での肝細胞分離は困難であるが、本法の改良によって、細胞移植のみならず、再生医療を含めた今後の治療に寄与するものと考える。現在、画像処理PCカスタマイズを用い、長期培養例の細胞増殖の経時的変化を観察し、画像処理している。
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Research Products
(10 results)