2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
嶋村 剛 北海道大学, 病院・助教授 (00333617)
鈴木 友己 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70374238)
谷口 雅彦 北海道大学, 病院・学術研究員 (30374333)
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (80256510)
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Keywords | 肝阻血再灌流障害 / アデノシン関連物質 / ジピリダモール / 活性酸素群 |
Research Abstract |
肝臓において、種々の原因による阻血状態ならびにその後の血流再開に伴って発生する一連の虚血-再灌流障害は、肝切除術の術中操作に伴う肝障害、肝移植におけるグラフト機能不全、多臓器不全に伴う肝機能障害等に深い影響を及ぼしており、時に患者を死に至らしめる。肝の阻血再灌流障害の発生機序として、1980年代から活性酸素群が注目されている。これらの活性酸素群の生成に関してはいくつかの反応系が知られているが、阻血中のATPの分解によるHypoxanthineやXanthineの上昇とXanthine DehydrogenaseのOxidaseへのConversionを母地として発生する系が重要視されている。ATPの代謝産物であるアデノシンはアデノシン自体が持つ血管拡張作用の他に、High Energy Phospbatesのsubstrateとしての役割も有しており、これらの作用により近年、内因性アデノシンを増強させるnucleotide transport inhibitor等は臓器の阻血-再灌流障害の軽減に強力な作用を有することで注目されている。本研究はこれらのことに着目しアデノシン関連物質を応用した安全な肝切除術の確立、肝移植におけるグラフト機能不全の改善、新しい臓器保存液の開発、あるいは多臓器不全の治療法の確立などを目的とした研究である。交付を受けた萌芽研究補助金による研究成果として、ビーグル犬を使った2時間の完全肝虚血モデルを用いにおいて、以下の知見を得た。代表的な抗血小板薬であるジピリダモール(DYP)はnucleoside transport inhibitorの一つとして組織中のadenosine濃度を高める一方、Phosphodiesterase inhibitorとしても虚血・再灌流障害を軽減し得た。一方、アデノシンA_1リセプターはアデノシンの細胞保護作用を阻害することが知られており、アデノシンA_1リセプターのアンタゴニストであるKW3092[8-(noradamantan-3-yl)-1,3-dipropylxanthine]を用いた同様の実験においてEW3092投与群はcAMPの上昇を認め、虚血・再灌流障害を軽減し得た。以上の結果より、アデノシン関連物質は肝切除術、肝移植術、臓器保存における肝虚血-再灌流障害を軽減させ臨床における患者の安全性を高める効果を十分に期待できるものであると考えられた。
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Research Products
(2 results)