2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光物質CdSeナノクリスタルによる食道癌細胞の生体内イメージング
Project/Area Number |
16659350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮田 剛 東北大学, 病院, 講師 (60282076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 憲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90203710)
佐竹 正延 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178688)
亀井 尚 財団法人医療機器センター, 流動研究員
武田 元博 東北大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (10333808)
里見 進 東北大学, 病院・教授 (00154120)
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Keywords | 癌細胞イメージング / ナノクリスタル / CdSe / Her2 / 食道癌 |
Research Abstract |
(CdSe-Her2抗体複合体の作成) 新規蛍光物質CdSeナノクリスタルは、研究分担者・粕谷らにより安定した作成法が確立された。抗体を結合させるためには外殻表面をポリマーでコーティングする必要があり、生体に無毒なシリカを選択した。しかし、シリカによるコーティングを行うと物質の持つ蛍光特性が減弱する現象が認められたため、改良したコーティング法および抗体複合体の作成過程が進行中である。そこで、現在、並行して米国Quantum Dot社よりQDとして販売されているバイオマーカー用CdSeを用いて、当初の実験を進めている。複合体形成のための最適なヒトHer2抗体とCdSeのモル比は4:1であることを見出しており、複合体でも蛍光特性は維持されていることも確認した。 (in vitro実験) ヒト食道癌細胞株TEシリーズを用いた。Her2を強発現しているTE4、8について、上記複合体(蛍光波長600〜700nm)でホルムアルデヒド固定細胞で細胞膜の蛍光撮影に成功した。また同細胞の培養液内で生細胞の染色にも成功した。退色はほとんど認められず、蛍光特性は維持されている。 (in vivo実験) ヌードマウスBALB/CにTE8を移植し、坦癌マウスを作成した。長径5mm〜10mmの腫瘍となった時点で、尾静脈より複合体を静脈注射して観察したところ、CdSeの腫瘍への集積が予想通り観察された。マウスの自家蛍光が存在するため、subtraction処理が必要であるが、腫瘍の蛍光像の撮影を行い、生体内イメージングに成功した。また、より長波長の700〜800nmのQDを用いることでさらに深部のイメージングが可能と予想され、現在検討中である。マウスを解剖し、主要な臓器について病理組織学的にQDの集積を検討したところ、主腫瘍のほかに、肝臓、脾臓に強く集積していた。これは投与したCdSeの相当量が、大循環中に肝臓、脾臓などの網内系にトラップされる現象であり、これをなんらかの方法で回避することができればより効果的なイメージングが可能である。また、CdSeはナノサイズで毒性をもつかどうかは今後の検討課題であるが、本実験中に投与によるマウスの変調は観察されていない。排泄経路は肝、腎両方で排泄されていることを確認した。
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