2004 Fiscal Year Annual Research Report
バーチャル脳モデルを用いた脳障害および手術支援シミュレーションの開発
Project/Area Number |
16659381
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 英明 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70236305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
福多 真史 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (00361907)
加藤 和夫 明治大学, 理工学部, 助教授 (80115104)
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Keywords | 手術支援 / バーチャル脳 / シミュレーション / 脳腫瘍 / 脳血管障害 / 頭部外傷 / 開頭手術 / 生体物性 |
Research Abstract |
脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷により脳は変形し、歪みを生ずる。また、脳の手術において今やナビゲーションシステムは必須アイテムとなったが、開頭時における脳の落ち込みや変形に対応できるものはない。本研究は、バーチャル脳モデルを用い、脳損傷や脳手術における脳の変形をシミュレートすることを目標にすすめられた。 本年度は、脳損傷生成メカニズムを単純化するために頭部外傷特に衝突時の検討を始めた。使用したものは、パーソナルコンピュータと解析ソフトウェアはLS-DYNA(日本総研社製)である。頭部全体を18cmの球状にした三次元モデルを作り、骨、脳脊髄液、脳の3組織に単純化した。解析材料特性は既存値を用いることができた。解析は衝突時速ごとに、衝突時の脳の移動と圧力の変化を観察することとした。その結果、衝突速度の増加とともに、圧力の立ち上がり時間が早くなり、しかも圧力上昇の割合が大きいことから圧力の時間に対する積分効果を考えれば、脳組織に与える直撃損傷は非線形的に大きくなるものと考えられる。また、この解析で用いた生体物性値がin vivoにおいて±10%の誤差を含んでいる場合を想定しての検討も行っているが、大きな差を認めなかった。 今回の検討では、単純な三次元頭部有限要素モデルを作成して衝突時のスピード変化における解析であったが、モデルを更に実際の脳の情報すなわちMRIやCTを用いることで更に詳細な解析が行える手応えを掴んだ。また、衝突実験を加えた検証に進むとともに、衝突モデルでなく開頭手術モデルを用いて、脳の落ち込みや変形計算を行えることも確信した。 一方、生体材料の物性値のin vivo計測も本研究を進めていく上での課題であることもわかってきた。また、本研究の限界としては、組織としての脳すなわち血管系や組織間腔などを踏まえたモデルにもって行かなければ脳の浮腫などに代表される変化を捉えられないことであろう。 本研究の一部を日本機械学会(名古屋)で報告した。
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Research Products
(6 results)