2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する神経幹細胞移植の細胞再生および機能再建メカニズム解析
Project/Area Number |
16659410
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
櫻井 雅浩 東北大学, 大学院・胸部外科, 助手 (80344654)
仲西 修 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50137345)
山本 美佐 山口大学, 医学部, 助手 (70379957)
松井 智浩 山口大学, 医学部, 助手 (50314828)
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Keywords | 脊髄損傷 / 細胞再生 / 骨髄細胞 / 運動機能再建 / グリア / 軸索伸展 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
これまでは不可能とされてきた中枢神経疾患への根本的治療法が、神経幹細胞や胚性幹細胞など、各種細胞移植、軸索伸展阻害因子、ケミカルメディエイターの解明やアンタゴニスト投与による軸索再生の可能性、神経栄養因子やその関連遺伝子導入による神経保護作用、内在性神経幹細胞の利用など、多岐にわたる治療戦略により、少なくとも動物実験レベルでは実現可能なものとなりつつある。中でも神経幹細胞(neuroshere)移植は、失われた神経細胞を補充する最短の方法であり、機能回復が最も期待さている。本研究では、今までに、虚血性脊髄障害モデルにおいて、1)運動,後角ニューロン死の機序:脊髄障害周辺部で神経細胞のapoptosisが生じるか否か、さらにc-fos遺伝子発現があるか。2)遺伝子発現とapoptosisが、神経栄養因子、ラジカルやサイトカインとどのような相互関係にあるか,3)グリア反応-シナプス再構築の解明:損傷周囲、隣接部位のグリア反応はGFAP(astrocite)やOX-42(microglia)など,グリア関連蛋白の局所的,経時的変化よりその機構を解明する事を目的とした。4)移植術:神経幹細胞の脊髄注入,副腎髄質移植や神経栄養因子(nerve growth factor、basic fibroblast growth factor、brain derived neurotrophic factor)が脊髄損傷部および隣接部位のapoptosisを抑止できるか否か、グリア反応と隣接部位でのシナプス再構築、および運動・知覚機能の修復を合わせ検討した。その結果、1)脊髄虚血後にc-fos遺伝子発現とprogrammed cell death (apoptosis)が生じ、細胞内シグナリング-核内変調も発症機構に重要に関与すること,サイトカインは虚血性細胞障害過程において2面性に働くことを確認した。2)胎児性脳由来neurosphere移植による脊髄再建では、骨髄細胞(BMCs)より、増殖能力を旺盛に有する神経幹/前駆細胞、neurosphereを誘導し、その培養により自己移植が可能となった。また大量の神経細胞補充療法を行うことが臨床応用を見据えたレベルで可能となった。In vivoにおいても、完全脊髄損傷ラットモデルへこれらBMCs由来neurosphre移植を行い、運動・感覚機能・膀胱機能・生命予後の改善の可能性が確認された。
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