2004 Fiscal Year Annual Research Report
擬微小重力培養を用いた3次元軟骨組織構築技術に関する研究
Project/Area Number |
16659415
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
植村 寿公 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, 研究チーム長 (60176641)
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Keywords | 軟骨再生 / 3次元培養 / 間葉系幹細胞 / RWVバイオリアクター / 微小重力 / 移植 / 再生医療 |
Research Abstract |
変形性関節症などの関節疾患の治療法として,軟骨再生技術の確立が急がれている.しかし,生体外での細胞培養時に生じる障害によって培養組織が壊死を起こすため,広範囲の軟骨欠損に応用可能な大型の軟骨組織を再生する技術は確立されていない.われわれは従来の軟骨再生技術における問題点を解決し,大型の三次元軟骨組織を再生することを目的として,細胞障害の少ない微小重力環境を模倣するRWVバイオリアクターを利用した新規軟骨再生技術の開発を行なった.間葉系幹細胞は高い増殖能力を持ち,適切な分化誘導因子の存在下で三次元培養を行なうことで軟骨組織へ分化する能力を持っている.しかし,生体外で培養を行なう際,地上重力の影響を受け細胞はシャーレの底に沈んでしまうため,培養組織はシート状にしか形成されない.また,軟骨細胞は2次元的に培養すると繊維芽細胞様の細胞に脱分化することが知られている.このような問題点を解決する方法のひとつとして,RWVバイオリアクターがつくる擬似微小重力環境を利用した三次元培養法が考えられる.RWVは,円形のベッセルが,回転することで細胞に与える重力方向を絶えず変化させ,その結果,時間平均すると,地上重力の100分の1という微小重力環境を模倣することができる.ベセルの回転によって,細胞はベッセルの底に沈むことなく,培養液中にふわふわと浮いた状態で徐々に三次元集合体を形成すると考えられている.本年度の研究では,ラビット10日齢のロングボーンより骨髄細胞を採取し,3週間培養により増殖させた後,TGF-βなどを添加した培養液中でRWVバイオリアクターによる回転培養を行った結果,長径1.5cm,短径0.8cmの大型で均質な3次元軟骨組織を形成させることに成功した.切片を作製しサフラニンO染色やアグリカンやコラーゲンIIの発現量から軟骨類似の組織であることを確認した.
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Research Products
(3 results)