2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血後意識障害の病態解明-オレキシン(脳覚醒伝達物質)神経細胞へのPeroxynitriteの作用-
Project/Area Number |
16659420
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
福田 悟 福井大学, 医学部, 教授 (30116751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨士原 秀善 福井大学, 医学部, 助教授 (20251803)
鈴木 久人 福井大学, 医学部, 助手 (90235987)
立山 博一 福井大学, 医学部, 助手 (60313772)
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Keywords | 中大脳動脈閉塞モデル / Peroxynitrite / nitrotyrosine / オレキシン / 視床下部 |
Research Abstract |
脳虚血・再潅流後の神経細胞障害にNOとその反応物であるperoxynitriteが関与することは知られている。しかし、覚醒維持に深く関与するオレキシン細胞に対して虚血・再潅流後に産生されるNOならびにperoxynitriteがどのように影響するかは知られていない。体重230〜260gのWistarラットを用い、イソフルレンで麻酔した後、中大脳動脈閉塞モデルを作製した。実験7〜10日前にあらかじめマイクロダイアリシス用ガイドカニューレを視床下部外側部に挿入した。実験当日、深イソフルレン麻酔下、気管切開し筋弛緩薬で非動化した後、イソフルレン1.0MAC(1.2%)で麻酔を維持した。あらかじめ外頸動脈にセットしておいたシリコンコーティング4-0ナイロン糸を抵抗のあるところまで挿入し、2時間留置し脳虚血を作製した。2時間後、ナイロン糸を抜去し、再潅流した。NO変化(NO_<2^->,NO_<3^->)を虚血後3時間迄観察したが、NOに有意な変化はなかった。この事実は、NO産生細胞がオレキシン神経細胞と共存していないという報告もあり、オレキシン細胞は比較的脳虚血・再潅流に抵抗がある可能性があるのか、病的障害を起こすのはグリア細胞が関与すると言われており、時間的にiNOS含有グリア細胞の発現まで多量のNOは産生されないのかもしれない。一方、peroxynitrite発現の足蹠といわれるnitrotyrosineの発現を免疫組織学的に検討した。同様にイソフルレン麻酔下で中大脳動脈閉塞モデルを作製し、3日後、7日後のnitrotyrosineの発現を、凍結切片(30μm)にて観察した。その結果、nitrotyrosineの発現は7日目に見られ、その発現は大脳皮質梗塞巣の周辺に観察され、視床下部周辺には認められなかった。オレキシン細胞障害でのperoxynitriteの影響は少ない可能性が示唆された。
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