2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659428
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 利保 東海大学, 医学部, 教授 (20196851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 助教授 (70216878)
長村 義之 東海大学, 医学部, 教授 (10100992)
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Keywords | 細胞内情報伝達 / 揮発性麻酔薬 / セボフルレン / MAP kinase / PKC |
Research Abstract |
MAPキナーゼカスケードは細胞の分化・増殖を司る情報伝達経路として多方面から研究が進み、解明されてきている。一方、PKC細胞内情報伝達系も揮発性麻酔薬の作用部位として近年脚光を浴びている。そこで、セボフルレンのMAPキナーゼカスケードに及ぼす影響をウイスター系ラット胎仔大脳皮質より調製した初代培養神経細胞を用いて検討した。 (結果)PKC抗体を用いたImmuno-blotting法による検討の結果、抗PKCαおよびβ2の活性化が顕著であった。最初に細胞質部分の活性化が有意に起こり、時間の経過と共に膜部分に移行しているのが観察された。一方、この2種以外の分子種についてはその活性化をほとんど認めなかった。 次にMAP kinaseの抗体を用いた観察ではRafの発現量には殆ど変化を認めなかったが、p-Rafは5分をピークにリン酸化の亢進を認めた。MEKの発現量はRafと同様にほとんど変化を認めなかった。しかし、p-MEKは、セボフルレン投与10分をピークにコントロール群と比較して有意にリン酸化の亢進を認めた。最後に、ERKの発現についてはRaf、MEKと同様にほとんど変化は認めなかった。しかし、p-ERKはセボフルレン投与15分をピークにリン酸化が亢進した。 リン酸化ERKを用いた免疫組織化学的検討ではコントロール群と比較して突起先端におけるシグナルの増強を認めた。そのピークは投与15分付近と思われ、以後経時的にシグナルは減弱した。 (結論)セボフルレン投与後、PKC-α、β2の活性化を介してRaf、MEK、ERKのリン酸化の亢進を認め、セボフルレンの作用機序においてMAPキナーゼカスケードが重要な役割を果たしていることが示唆された。また、p-ERKを用いた免疫組織化学的検討ではシナプトソームから突起先端にかけてその局在を認め、セボフルレンの重要な作用部位として想定することができた。
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