2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16659430
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (10145196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 幸二 生理学研究所, 統合生理研究系, 助手 (70262996)
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Keywords | 痛覚 / 脳波 / 脳磁図 / ヒト / 体性感覚 / 電極 / レーザー / 触覚 |
Research Abstract |
本年度は、この新しい電極を特許出願した。また、日本光電株式会社がこの電極を製品化することを計画しており、年度末には試作品が完成した。来年度には、この電極の型を作り大量に生産が可能となる予定である。これまで、国内外から「この電極を用いて実験を行いたいので、送ってほしい」という多くの申し出があったが、残念ながらそれに対応することはできなかった。本研究費により、ようやくそれが可能となる予定である。 研究面では、(1)痛み刺激に対して意識を集中する場合と意識をそらす場合の痛覚認知の変化、(2)睡眠中の痛覚認知の変化、について研究を行った。 痛み刺激に対して意識を集中する場合には、痛覚関連誘発脳波および脳磁図反応の振幅が、control条件に比して有意に増大し、自覚的な痛覚レベルも有意に上昇した。逆に、痛み刺激から意識をそらす場合には、痛覚関連誘発脳波および脳磁図反応の振幅が、control条件に比して有意に低下し、自覚的な痛覚レベルも有意に低下した。これらの結果は、痛覚認知における注意効果が大きいことを明瞭に示すものであった(Qiu Y, Kakigi R et al.: Clinical Neurophysiology,2004)。 睡眠中の痛覚関連誘発脳波および脳磁図反応は、例え「うとうと状態(Stage1)」でも著明に振幅が低下し、軽眠期にはほぼ消失した。このような著明な変化は、触覚などのような他の体性感覚では見られないものであり、痛覚認知における睡眠の影響が大きいことを示す所見であった(Wang X, Kakigi R et al.: Neuroscience,2004)。
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