2004 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿器癌を標的としたNIS遺伝子導入^<131>I放射線内照射療法の確立
Project/Area Number |
16659432
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
羽渕 友則 秋田大学, 医学部, 教授 (00293861)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 順彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (70282176)
堀川 洋平 秋田大学, 医学部, 助手 (40361232)
柿沼 秀秋 秋田大学, 医学部, 助手 (70323144)
|
Keywords | 前立腺癌 / 遺伝子治療 / ヨード放射線療法 |
Research Abstract |
近年、NIS(Sodium Iodide Symporter)遺伝子のクローニングにより、甲状腺によるヨード取り込み分子機構が明らかにされた。NISは甲状腺上皮に発現する膜タンパクであり、^<131>I放射線内照射療法が甲状腺癌に対して、優れた治療効果を示すのはNISが癌細胞でも機能するためである。いっぽうNIS遺伝子導入による^<131>I治療が脳腫瘍、乳癌、大腸癌などさまざまな腫瘍への応用が考えられてきたが、新たな癌治療戦略として、前立腺癌は放射線感受性癌であり、NIS遺伝子治療の最有力候補として注目される。 安全かつ効率的なNIS遺伝子導入^<131>I放射線内照射療法の確立には、NISを前立腺腫瘍特異的に発現させる必要がある。ところが、PSAやPSMAなどの前立腺特異的遺伝子のプロモーターは、ウイルスプロモーターに比較して、その活性が弱く十分な遺伝子導入には不向きという欠点がある。 ホルモン感受性前立腺癌細胞株に対するNIS遺伝子導入ヨード放射線療法の有効性については分担研究者の柿沼が報告した(Cancer Res. 2004)。本研究ではこれを受けて、HDAC阻害剤を利用した分化誘導療法を併用し、ホルモン非依存癌(DU145)への本治療の応用を検討した。今年度は基礎研究として、ホルモン非依存癌をHDAC阻害薬(FK228)で処理し、アンドロゲン受容体とNIS遺伝子の発現を検討した。HDAC阻害剤単独では、DU145株でのアンドロゲン受容体の発現レベルの回復は認められず、NISタンパクを十分に発現させることは出来なかった。しかし、DU145細胞をFK228で処理すると、CBPやSRC-1といった転写因子が誘導される傾向がみられ、今後は他剤(ホルモン剤、抗癌剤)との併用による効果を検討したい。DU145においても、NIS遺伝子を十分に発現させることができれば、再燃前立腺癌への応用の可能性を示すとができると考える。
|