2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス腎癌を用いたミニ移植のモデルの作成と抗腫瘍効果の免疫学的検討
Project/Area Number |
16659440
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江藤 正俊 九州大学, 大学病院, 講師 (90315078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立神 勝則 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (90380617)
吉開 泰信 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90158402)
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Keywords | 腎臓癌 / 骨髄移植 / GVHD / キメラ / ミニ移植 / マウスモデル |
Research Abstract |
1.マウス腎癌を用いて安全かつ確実なミニ移植のモデルを作成するという目的については、BALB/cマウスに同系の腎癌であるRenca細胞を皮下投与するモデルで実験を進めた。癌の治療を前提にしたモデルであるから腫瘍の生着を確認した上で処置を開始した。ヒトのミニ移植の時と同様にMHC(主要組織適合抗原)が一致するDBA/2マウスの脾細胞(SC)と骨髄細胞(BMC)を静脈内投与して、その2日後にcyclophosphamide (CP)を腹腔内投与した。この方法でドナーとレシピエントのバランスが取れた混合キメラが誘導されるので、このバランスをドナー側にシフトさせる目的でドナーのリンパ球(LNC)をCPの翌日に追加投与した。以降、経時的にtumor growthを計測したところ、ドナーLNC投与(臨床ではDLIに相当)群においてのみ腫瘍の増殖は著明に抑制され、40-60%のマウスで腫瘍の消失が認められ、実際の臨床におけるDLIの場合と同様にドナーLNC投与による明かな抗腫瘍効果を確認できた。末梢血におけるドナー由来細胞の割合をフローサイトメトリーにて解析したろ、ドナーLNC投与群において最も高いキメリズムを認めたが、全体としてキメラのレベルは低く、その割合は徐々に低下して、移植後100日過ぎには検出できなくなった。それらのマウスにRenca細胞をrechallengeしたところ、腎癌特異的な抗腫瘍免疫の獲得が認められ、脾細胞をRenca細胞と培養したところ、腎癌特異的なIFN-γの産生を認めた。以上の結果はCancer Res. 65:10032,2005に掲載された。 2.我々はマウス腎癌ミニ移植モデルにおけるmixed chimerismの意義についてさらなる検討を進めるために、同じマウスの組み合わせで致死量以下の放射線と骨髄移植を用いたマウス腎癌治療モデルも作成し、抗腫瘍効果とchimerismの相関を検討した。放射線照射を用いた系では照射線量に応じて混合〜完全chimeraまで誘導されるものの、いずれにおいても抗腫瘍効果は認められなかった。600Gy照射群について詳細に解析したところ、末梢血にて早期より完全chimeraが認められたが、放射線照射後2週間経っても腸間膜リンパ節細胞細胞数はコントロールと比して著明に減少していた。同時期に行った腫瘍の病理学的検索でもリンパ球の浸潤の程度は軽度であった。一方CP群では末梢におけるリンパ系の回復は早く、腫瘍内にも著明なリンパ球浸潤を認めた。以上の結果はマウス腎癌治療において、必ずしも完全chimeraの誘導が必須ではないことを示すとともに・抗腫瘍効果を得るには、前処置からのリンパ系の早期の回復が重要であることを示した。この結果については投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)